07
 明くる日の土曜日。半月ぶりに休みと呼べる休日をテレビを見ながらのんびりと獏良家の長男は過ごしていた。昼間からごろごろしてられるって最高、休日万々歳。ふ、とドヤ顔でほくそ笑めば三男であるバクラから「キモッ」と吐かれたが気分が良いので聞いてないふりをしてやる。普段ならば技の一つや二つはかけている頃だ。
 砂糖はでろでろ、ミルクで茶色っぽく変色したブラックコーヒーを口に運んだ瞬間、そいつは来た。腹にのし掛かる三十キロ越えの重さがダイレクトに胃を圧迫する。カップと口から排出するコーヒーが温くて良かったと考える一方で真っ白なトレーナーにこびり着いてしまった染みについての対処法を懸命に思い出していた。
腹部で蠢く犯人を叱りつけようと叱咤の言葉を発そうとすると突きつけられた何かに驚いて、瞼をぱちぱち開閉した。なんていうか近すぎて逆に見えない。

「デュエル!」

その事に気づいた犯人、天音が跨がりながら後ろへ下がってようやく見えたのがM&Wのカード。さっきのは決闘の申し込みをされてたらしい。何故か怒ったような口調だが。

「それだったら何もオレ様じゃなくバクラにでも言えば…って、お前デッキなんて持ってたのか?この間まで興味なかっただろ?」
「今は違うの!やらなくちゃいけないのー!」

何か理由があるらしいがとにかくドタバタ腹の上で暴れるのは止めて欲しいので適当に返事をして宥める。
 天音の手にあったデッキを取り上げ内容を確認してみると少し驚いた。マドルチェや魔法使いと云う可愛らしさのある種族かと思いきや、恐竜族や爬虫類族を使っていたからだ。本人曰く「虫を簡単に殺せそうだから」だそうで。虫嫌いというわけじゃないのに低く語るその姿は我が妹ながら恐怖を感じたので深くは聞かない。

「そうだ盗兄ぃ。これあげる」

思い出したようにポケットからごそごそ何やら取り出し手渡してきたのは、

「ゴキボール…」

レベル1の雑魚カード。
 後ろから暇そうにやり取りを眺めていたバクラが「ヒャハハハ!!」と笑ったのを今度はすかさず取っ捕まえギブと叫ぶまで足四の字固めを決めてやった。



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デッキ
盗バク了→DM時代
子盗→シンクロ勉強中
天音→勉強したのでエクシーズまでいける。ただし初心者なので罠・魔法に偏りが有り、戦略でいつも負ける。

 

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