04
「ばーか!あーほ!お前の母ちゃんデベソー!」
「待て!いくらなんでもママさんの悪口は許せないぜ!」
「マザコン!」
「シスコンは黙ってな!」

 いつものように屋上で、いつものように昼食を採って、いつものようにデュエルをしていた最中に頭に紅葉と花を咲かせた二人が突発的に喧嘩をし出した。そうなった原因にはぼうっと空を眺めていた為に聞き耳を立てていなかったが、内容は小学生と同レベルで頭が痛い。ギャーギャー終わりの見えない争いに見兼ねたバクラはとうとう堪忍袋の緒が切れた。

「うううるっせええええ!!どっちも黙りやがれ!!!喧嘩なら俺様の居ない所でやってこい!!!!」
「そう言う貴様の方が五月蝿いってことに早く気付くべきだなぁ」
「右に同じく」
「貴様らァ…っ!」

説教する教師が一番五月蝿いって知っているか?とお互い向き合いながら、なー?と掛け合う姿に苛々は増す。仲違いしていたのに声をかければ一分も経たずに元の鞘に収まってしまう。楽と謂えば楽な関係の筈だがバクラだけは今にも吐血しそうな勢いだ。めんどくせえムカつく馬鹿組。二人を纏めて称するならばこの言葉に限る。
 半ば本気で殺しかかりに来そうなバクラの雰囲気を身に感じ二人は大人しくなる。一つ足を動かそうとすれば面白いぐらいビクリと跳ね上がった。

「アテム、マリク」

静かに名前を呼び手招きする。

「な、なんだじぇ…」
「どうしたバクラ!殺る気か!?」

身構えながらおそるおそる近付いてきた二人の肩をがっしりとホールドして兄の了と同じような笑顔を作った。
 そして、嫌な予感がすると背筋を凍らせる二人にバクラは高らかに告げる。

「貴様らの身に付けてるそのシルバーとゴールド。明日一日没収させて貰おうか」
「ギャアアアアア」
「うへぇああああ」

まるで死刑でも宣告されたかのようにアテムとマリクは絶望の表情を浮かべ学校中に響く悲鳴を上げた。

 

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -