02
 昨夜、お風呂に入ってる時に気付いた。シャンプーがそろそろ切れてしまう頃だ。小学校から帰宅してすぐに財布を持ち、近くのスーパーを目指した。



 そして行く途中にある公園前に来たとき。変な眼鏡をした少年に出会ってしまった。真ん中の虫をモチーフにしたそれは趣味が悪いことを表している。年上なのか背は天音よりも何十センチも高いが、そのいい歳で虫網を持つのはどうなのだろう。無視した方が良いと判断し通り抜けようとしたのだが肩をガシリと捕まれた。

「君、あからさまに嫌な顔をしたよね?」
「ちょ…!離してよ!したけど、それはあんたがそんな気味悪い眼鏡かけてるのが悪いのー!」
「ヒョ…ッ!?」

本人にとっては思いがけない言葉だったのか固まったまま動かなくなる。他の誰かに言われなかったのかと疑いたくなるけど多分友達いないんだろうなぁ、と勝手にそれで自己完結させた。
 油断した隙を狙って乗せられていた手を払う。早く此処から切り抜けたくてムカムカしてたのに次は腕を捕まれて失敗した。

「侮辱されたまま帰せるか!オレとデュエルしな!」
「無理。私デュエルした事ないもん」

誘い文句を一刀両断し冷ややかな視線を送る。信じられないといった風に目を丸々とさせて掴む力を強められた。

「いた…っやだ、離して…!」

痛みで片目をしかめた天音の様子に焦ったようであっさりと離れていき気まずそうに視線を逸らした。
 それから思い付いたように天音を指差し独特の笑い声を上げる。

「明日からこの公園に来な。何てったってこのボクが直々にデュエルを教えてやるんだからね」
「えっなんでそうなったの!?」
「今のご時世、デュエルしないと人生の殆どを損するぜぇ?これは既に決定事項だ。オレの事は先輩と呼びな!敬語もきっちりな!」
「やだー!了兄ぃ助けてー!」
「ヒョヒョヒョヒョ!!厳しくいくから覚悟しとけ!ついでに言うと来なかったにも関わらず貴様を見つけた時にはオレのパシリとなーる!」

そんなラフな格好で買い物なんてここいらの近所に住んでるんだろう?
 悪魔の笑みで宣告され天音の気は遠くなるばかりである。高らかに去る後ろ姿を恨めしそうに見つめて肩を落とした。

 

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -