「いい加減戻ってこいよマダラ。里に正体バレたらどうするんだよ」
「……オビト、オレを知っている奴など生きているのか?オオノキの小僧は今のオレの姿を覚えているかもしれんが」
「アンタ、初代火影と殺り合って出来た谷に彫刻されてんだよ」
「柱間と向かい合っているあれか」
「ああ」
「…正直、あまりオレと似てないだろ」
「格好は似せている」
「オレはもっと頭身が高くて男前でシュッとして木ノ葉に名を残すイケメンだったはずだ」
これが老人の捏造された武勇伝か。オレからしてみれば石像そっくりなのにな。鏡に写る姿でさえ人の願望が入る、この世は偽り、偽物しかない。
「そう愚痴を言うな、アンタは里を抜け柱間に敗れ死んだ人間だろう。初代火影と対等に向かい合っていることに感謝してやれ」
「生きて柱間の目を欺いたオレの勝利だ」
「だからそれがバレたらどうすんだって話だ!」
「オビトさん来ていたのですか?」
「すまない蛇博士、邪魔をしている」
「同じうちはの生き残り、邪魔だなんて言わないでくださいな。ゆっくりしていってくださいね、オビトさん」
「いや…オレは」
「もうすぐお昼ですし、何か召し上がりますか?」
「食事は必要ない」
「では飲み物は」
「構わん」
「そうですか…。わたしは仏間で縫い物をしていますので、何か用事がありましたら気軽に声をかけてくださいね。それと、サスケ君は五時頃に帰ってきますよ」
「……わかった」
そういえば蛇博士は気遣いできる人だっけか…当時はリン一途で気づきもしなかった。
「あれをアジトに連れて行けばいい気がしてきた」
「やめてくれ。オレがイタチとサスケに殺される」
「一族皆で里を出ればいい」
「アンタ生前それやって孤立したんだろ」
「……そういえば柱間の父の名が仏間だったな…」
「んなこと、どうでもいいんだよ。いつまで此処にいるんだジジイ」
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