新しい起爆札製作まで、暇だ。マダラさん追求が終わったようで、証人の役割を果たしたかもしれないわたしは完全に起爆札製作マシーンと言う名の奴隷にされると思ったのに。暇だ。暇すぎる。

「扉間さん、暇です。扉間軟禁生活も飽きました」
「その言い方はやめろ。ワシにそんな趣味はない」
「なら構ってください!死体なので寝ることもできないのですよ!?暇です、暇です!」
「ええい!マダラが里を抜け忙しいのだ、馬鹿に構う暇などないわ!」
「えっ、あの人里抜けたんだ……」

 びっくりです、初耳です。扉間さんはそういえば話してなかったなっぽい顔をしている。「兄者も何があったか話さんし……チッ」蚊帳の外なわたしにそんな愚痴られても困る。そもそも扉間さんがわたしに対する精神的攻撃暴言をマダラさんにも言っちゃったんじゃないだろうか。きっとあの時の会談でこの人が姑のようにチクチクと言ったに違いない。木の葉上層部の対人関係なんてわたしにはさっぱりだけれどマダラさんが可哀想に思えてきた…わかるよ兄の仇の人、扉間さんって敵にまわすと怖いもんな。こんな人に虐められたら里抜けたくなりますよ。

 研究室にまで仕事を持ち込んでる扉間さんに五杯目の茶を出す。暇なんで茶を淹れるぐらいしか暇潰しができない。そんなにいらんって表情してますが淹れたので出す。わたしが飲もうにも死体なので扉間さんに出す。もはや嫌がらせの域に達しそうな行為に、扉間さんは何か閃いたようだ。

「ナマエ、家事は出来るか?」
「かじって……船操縦や火遁的な意味じゃないほうなら出来ますよ。家族全員忍だったので、軽い任務ばかり任されてたわたしが家事やってました。寧ろそれを言い訳に任務サボってました。サボりまくってました」
「何故こんな奴がワシの暗殺任務を……」
「泣かないで、扉間さん」
「泣いとらんわ」

 きっと、鉄砲玉でもその程度の忍を寄越されたことが情けないのだろう。すみません、情けない忍ですまない……と生前の生活態度を反省し、扉間さんと一緒に落ち込む。三秒で立ち直った不死鳥のわたしは「まっマダラ亡き今、扉間さんの名は他国に広がりんぐですよ!」と励ます。頑張れ扉間さん!

「マダラは亡くなっておらん……亡くなっていればどんなにいいか。あのまま奴を野放しにすれば里の驚異になる」
「さらりと酷いことを。あぁでも、復讐とかしそうなタイプっぽいですね。あの人怖いし」
「だからこうして里の警備を見直しておるのだ」

 扉間さんは木の葉の地図っぽい書類と表のような書類の束をわたしに見せびらかした。そんな大事なものを元他里の忍だったわたしに見せるなんて。よほど警戒されてないとみた。情けなさ過ぎる忍ですまない…。

「それはそれは大変なことで………へい大将!茶、淹れましたぜ!」
「いらん!………ナマエ、本当に家事が出来るのか?」
「疑ってますね。確かに死体なので味見できないけれど経験値というものが身体に染みこんでます!」
「わかったから、これ以上茶を淹れるのやめろ。食事を取りたい、ナマエ作れるか?」
「作れます、もう任せちゃってください!でも此処では無理ですよ。給湯室なにもないので」
「ワシの家に行く。この書類もそこでやることにする」
「やった、久しぶりのお出か………エエェ」

 おわかりいただけただろうか。扉間さんがぽんっとわたしの肩を叩いたと思ったら研究室とは違う、シンプルだけれど住み心地良さそうな綺麗に片付けられた空間が広がっていた。陽の光もいい感じにあたる木造建築の香り、結婚したら夫とこんな家に住みたい家一位のお家。結婚したら後悔する夫一位の扉間さんは「ワシの術で移動した、気にするな」とおっしゃっています。
 あ、これって見覚えがある。わたしが暗殺しようとした時、咄嗟に投げられたクナイを避けたらそのクナイのほうにいつの間にかいたやつですよね。一瞬でしたと小者な感想文を贈った術だ。

「材料は一通りあるはずた。ワシは薬品と同じ物資は切らしたくないたちでな」
「薬品って……料理をあまりしないのに買って満足するたちですか。それってエコじゃないですよ」
「忍に自然環境など不毛よ。ワシは向こうの部屋で書類処理をする。飯が出来たら呼んでくれ、道具も何を使ってくれても構わん」
「あの……」
「なんだ?」
「やっぱり、料理するの久しぶりなんで、料理本買ってきていいですか。えへへ」
「………」

 すっごく不安そうな顔をした扉間さんが本代のお金を持たせてくれた。


家庭科の復習

 

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