「ひいいぃ!あんな間近で爆発音聞いたの初めてですよ。びっくりして心臓止まるかと思いました!」
「貴様の心臓は既に止まっておる。何度このやりとりをすれば気が済むのだ」
「死ぬまで続けます」
「だから貴様は……ハァ…もういい下がってよい」

 結局、火影殿に面会できず門前で待てと命令された。店の前で首輪を柱に繋がれる犬のような扱いだ。その後、里の郊外で起爆札ドッカーンを試した。わたしで。なかなか酷い上司は、そのようすを冷静に「一点集中爆破には少し遠いな……札が口寄せされるまでに札も威力も分散しておる。口寄せの時間を改良せねば」と分析していた。
 正直、木の葉にはドン引きしている。この人といい行きで会ったマダラさんといい、この里の忍って皆顔も思考も怖い人ばかりだ。火影殿に面会しなくてよかったのかもしれない。この人の兄とか想像できない…したくない…。

 場面は変わって、山中一族のお方とご面会。面倒なことを回避するため扉間さんには「貴様が使者を見送ったことのみ想像しろ」とか言われた。人の記憶というのは全て覚えているほど有能ではない。しかし、忘れているのではなく記憶されているものが引き出せていないだけであり、この人の術はそれを人に見せることが出来る術らしい。なんて便利な術なんだ。そしてなんて人権侵害。

「もしかして、あれですか。勝負下着の色とかもバレちゃう感じですか」
「誰も貴様の下着なんぞに興味ないわ」
「ようし、扉間さんがいかに酷い上司なのかを想像しよう」
「………」
「じょ冗談!冗談!」

 チャクラを荒立てて睨まれる。あのマダラさんと張り合っていた時ほどではないが、わたしのような小者には十分すぎるほどの脅し。素直にお見送りシーンを想像したら、懐かしい兄や可愛がってくれた先輩たちが脳内に浮かんでホロリと涙が溢れた。本当はホロリ涙というより、ぐずっうえっぐずっと汚ならしい泣き顔なんですけども。現実って残酷。

「みっともないから泣くな」
「そんなこといったってぇ」
「もういい。確認は終わった…術をやめてくれ」

 山中一族のお方はわたしとは違った従順な返事を返し術を解いて、扉間さんとなにやら色々と難しい、外交問題やマダラの処分について話し込んでる。わたしが口を挟むことじゃないので、目を擦りながら涙を止めようとする。話してる最中、兄のように頭をがしがしと撫でながら時々「目が削れるぞ、それ以上擦るな」と止めようと腕を掴む。扉間さんって火影殿の弟なのにどことなく兄っぽい気質がある。なんでだろう。
 そんな様子を何故か笑顔で見てた山中一族の人は打ち合わせを済ますと満面の笑みで「仲のよろしいことで」的なことを言い去っていった。なんだあの人。扉間さんを誤解しているにもほどがある。やはり鬼畜上司モード扉間を想像して悪評を広めるべきだった。

「うーん、水遁並みに泣いたの久しぶりです……」
「そんな水遁の術があるか、馬鹿が」
「女の涙って武器らしいですよ!」
「戯け、ナマエのはガキの涙だ。それより任務に出かける忍たちにかけた言葉はなんだ。見送りというより土産の注文ではないか」
「だってほしかったから……土産リストでちゃんとまとめたのでいいじゃないですか!」
「開き直るな!これから任務に出かける忍に不要な巻物を渡す馬鹿がおるか!」
「ここに居ます!」
「そうだったな」

 扉間さんは馬鹿にするよに笑ってわたしの頬を引っ張った。そんなに引っ張ると千切れる。マジで千切れる一歩手前ほど引っ張り倒したら満足したのか、これからの日程を言いながら研究室に戻ることとなった。マダラさんについての会談、略してマ談に参加しないわたしはなんと!その間は自由なのだ!

「起爆札の改良が済むまでだからな」

 そう言い残し去った扉間さん。数分後に、研究室にある様々な巻物や医薬品が気になって弄ってたら壊して戻ってきた扉間さんに怒られるのは数時間後の出来事である。怒られてる最中に、そういえば名前で呼ばれていることに気づいたのであった。


初めての休息時間

 

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