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うさぎを飼ってみたZ<静帝>

2011/02/19 23:55

 帝人はひょこっと脱衣所を覗く。浴室からはシャワーが流れる音が聞こえ、誰かが使用していることがわかる。
 帝人はそれを確認し、首にうさぎの形をした財布をぶら下げる。これは二週間前に、静雄に買ってもらったものだ。中には手伝いの駄賃として貰った小銭が入っている。
 白い帽子を被り、家を出る。目指す場所は一つだ。
 家から徒歩一分程の所にあるコンビニにたどり着く。此処にはよく静雄と来るので道は覚えていた。
 真っ直ぐにデザートコーナーへと向かう。帝人の視線の先にはプリンがある。
 背伸びをし、取ろうとするが、プリンは一番上の段にあるため、手に取ることができない。
「むきゅきゅ…ッ」とぷるぷると脚を震わせながら背伸びを頑張っていると、後ろから伸びた手がプリンを取った。
「きゅっ」
「これが欲しいの?」
 帝人にプリンを差し出したのは、コンビニの店員の少女だ。
 帝人は笑顔でプリンを受け取り、頭をぺこっと下げる。
「貴方はよく金髪のお兄さんと来ている子ですよね。今日は一人なんですか?」
「もきゅ」
 こくりと首を縦に振る。
 もう一個、と棚に乗っているプリンを指差せば、少女はくすりと笑い、プリンをもう一つ取った。
「210円になります」
「きゅー」
 うさぎの財布をひっくり返すと、数枚の百円玉と十円玉が転がる。
 百円玉を二枚、十円玉を一枚とり、後はうさぎの財布の中へと戻した。
 お金の数え方はセルティに教えてもらったのだ。
「ありがとうございました」
 少女が頭を下げるのを真似るように、帝人も頭を小さく下げ、手を大きく振った。
 小走りで去って行く小さなうさぎを見、少女は小さく手を振り返した。
「杏里?どうかしたのか?」
「いえ、可愛いお客様が来ていたんです」
「え?可愛い子?俺もレジいりゃよかったなー」
「はい。可愛い子でしたよ」
 くすくすと笑いながら、新たな客に、二人で頭を下げた。

 一方、静雄は濡れた髪をタオルで乾かしながら、机の上に置かれた紙を見ながら固まっていた。
「…なんだこれ。つか、帝人?」
 いつもは名前を呼べば走ってくるのに、帝人から返事はない。代わりに机の上にはカラフルな物体が描かれた画用紙があった。
「何かの暗号か…?もしかして、また臨也の野郎が何かしたんじゃ…」
 想像をすればするほど不安になる。
 念のため、家を捜索したが、帝人は見つからなかった。
 捜しに行った方がいいだろうかとそわそわし始めると、扉がかたんと鳴った。静雄は慌てて玄関へと向かう。
「帝人!」
「もきゅ?」
「お前、一体何処に…」
 静雄の目には白いビニール袋が映った。
「…コンビニ?」
「きゅ!」
 帝人は靴を脱ぐと、静雄に飛び付き、ビニール袋を静雄に差し出す。中にはプリンが二つ入っていた。
「…プリン買いに行ってたのか?」
 こくっと頷く帝人に、静雄は脱力し、床に座り込んだ。
「何処か行くなら行くで何か言え」
「むきゅ」
 帝人はリビングまで走り、画用紙を静雄に見せ付けるように押し付ける。
「…コレ、まさかプリンだとか言わねえよな?」
「きゅい」
 どうやらそうらしい。
 静雄は呆れたように帝人の頭をぽんぽんと撫でた。
 帝人は何故撫でられたかわかっていないようだったが、首を傾げながらも静雄に抱き着いた。



うさみか、はじめてのおつかい

もうそろそろサイトをいじらなければ…


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コメント
2011/02/20 01:17 マカロン

うさぎを飼ってみたシリーズをいっそ連載してみては!
もう、うさみかが可愛すぎてたまりません`▽´!!
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