うさぎを飼ってみた[<静帝>
2011/02/20 16:49
「もきゅー」
「帝人…?」
静雄がトイレから戻れば、帝人の姿はなかった。
テーブルの上には飲みかけのココアと板チョコのかけらが皿の上に残っているだけだ。
静雄がトイレに行ったといってもそれは一分程の短い時間だ。しかも、今声がした。
幽から誕生日プレゼントとして貰ったソファに身体を埋めると、潰れたような帝人の声がし、慌てて立ち上がる。
「帝人?!」
「むぎゅ…」
柔らかなソファは帝人の身体をすっぽりと入る程凹むらしく、帝人が苦しそうにソファから出てきた。
静雄は踏んだところが痣になっていないか触って確かめたが、特に痛いところはなさそうでホッと息を吐く。
「よっぽどそのソファ気に入ったのか?」
「きゅー」
ぽふぽふと小さな掌でソファを叩く。
「もきゅもきゅ」と嬉しそうに鳴く帝人が可愛いと思いながら、頭を撫でてやると、帝人は静雄に飛び付いた。
「今日の晩飯、何がいい?」
「きゅ…」
真剣そうに考える帝人だが、特に思い浮かばなかったらしく、プルプルと首を横に振った。
「じゃあ一緒に買いに行くか」
「きゅい!」
帝人は静雄から離れ、テーブルの上のココアを一気に飲み干すと、皿と一緒に水につけておいた。
満足そうに息を吐く帝人に上着を着せてやり、帽子を被せる。
静雄が手を差し出せば、帝人はそれに飛び付くように掴まった。
「寒くないか?」
「もきゅ」
こくり、と首を縦に振る帝人の反応を見た後、静雄は帝人に歩幅を合わせて歩き出す。スーパーまでは徒歩十分程の所にあり、帝人は楽しそうに静雄と並んで歩いた。
「そういや、もうそろそろプリン無かったな。また買い溜めしとかないとな」
プリンという単語に反応し、帝人の口からよだれが垂れる。静雄は笑いながらそれを服の袖で拭ってやった。
スーパーに着くと、帝人はお菓子コーナーへと走っていく。静雄は買い物カゴをとり、その後を追った。
スーパーに行けば、毎度百円分のお菓子を買っていいことにしている。
帝人は新製品のチョコといつも買う苺チョコを迷っていた。静雄が来たことに気付くと、「むきゅー」と二つを静雄に見せる。どうやら静雄に決めてもらおうとしているらしい。
「…二つ買っちまえばいいんじゃねえの?その新しいの、帝人が好きじゃなかったら俺が食ってやるよ。でも今回だけな」
「もきゅ!」
帝人は目をキラキラと輝かせながらカゴへとチョコを二つ入れた。
「さてと、後は晩飯とプリンだな」
「きゅー…」
「あ、こら。またよだれ垂らすんじゃねえぞ」
「きゅっ」
ごしごしと口を拭く帝人の頭を撫で、デザートコーナーへと向かう。
賞味期限を考慮しつつ、プリンを買い占める。ヨーグルトも一つ買っておいた。
「…晩飯、シチューでいいか?」
帝人は笑顔で首を縦に振る。
シチューのルーが山積みになりながら安く売られていた。その中の一つを取り、野菜と肉を多めにカゴへと入れていく。
帝人と住むようになってから自炊をすることが殆どだ。
明日は煮込みラーメンにしようと頭の中で決め、カゴの中のプリンを見つめる帝人の額をぺちりと軽く叩いた。
ゲームやってて静雄さんの優しさに胸がきゅんきゅんしてました
あと、帝人のテンションが上がってるのを見て可愛いと叫びたかったけど周りに家族がいたので犬を撫でながら可愛いと何度も呟きました
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