うさぎを飼ってみたX<静帝>
2011/02/14 18:52
「静雄さんは僕が好きですか?」
「ああ、好きだ」
「僕も静雄さんが大好きです。だって、ご飯たくさんくれるし、たくさん甘やかしてくれるんですもん」
「そうか」
「でも、僕にとっての貴方はその程度なんですよ」
「え…」
帝人はいつものように無邪気に笑い、さらさらと消えていった。
「…ッ」
ハッと目を覚ます。
隣には帝人がぐっすりと眠っていた。
「…変な夢だな」
そもそも帝人が喋ること自体ありえない。首を傾げながら、帝人の寝顔を見つめる。
「…可愛い」
小さな身体を抱きまくらにし、再度眠りにつく。今度は帝人と一緒にぽかぽかひなたぼっこをする夢だった。小川のせせらぎを聞きながらの静かな時間。
だが、それは帝人によって妨害されてしまった。
「きゅー、」
「…帝人?」
身体を揺らされ目を覚ます、時計を見れば八時を回った位だ。腹が減ったらしく、帝人の腹がクーと鳴った。
『僕も静雄さんが大好きです。だって、ご飯たくさんくれるし、たくさん甘やかしてくれるんですもん』
不意に夢のことを思い出す。もし帝人がこんなことを考えて静雄が好きならば、余程の腹黒か、魔性の兎というところだろう。
「帝人は俺のこと好きか?」
「きゅ?」
帝人はベッドから下り、リビングへと走っていった。逃げられた、と少し寂しくなる。だが帝人はすぐに静雄の携帯を持って戻ってくる。
「きゅー」
「あ?俺の携帯?」
帝人はぽちぽちと人差し指で静雄の携帯を操作する。それをじっと待つと、携帯を差し出される。
『ぼくはしずおさんがだいすきです』
「…ッ」
セルティにでも言葉を教えてもらったのか、平仮名だが、携帯越しに気持ちを伝える。
『ぼくはひとがこわかったけどしずおさんはぜんぜんこわくなかったです』
読点はないし、少し言葉がおかしいところもある。だが、帝人が必死に気持ちを伝えようとするのはわかった。
思わず目尻が熱くなる。帝人はちょいちょいと静雄の服を引っ張り、また携帯を見せる。
『おかながすきました』
「…ははっ、おかなじゃなくてお腹だろ」
「?」
首を傾げる帝人に愛しさが溢れてくる。抱きしめれば、帝人は逃げることなく甘受する。
「きゅー」
「ちょっとだけ、な」
「もきゅ」
静雄の珍しい我が儘に、帝人も珍しく静雄を抱きしめ返した。
あと二日…
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