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黒白の霧が
立ち込める






「凪今日は少しお出かけしましょうか。」
先生はそう言ってわたしの手をとった。この部屋から出たのはどれくらい前だろう。
どれくらい此処に居るのかも覚えていない。この部屋に居る前の事を思い出そうとすると頭がくらくらする。
前に先生に言ったらそれは体に悪い事だからあまりしないようにと言われた。
良くない事ならしないほうがいいね。
部屋の外は色々なものが聞こえるし、見える。頭がちょっと痛くなる。
「ごめんなさいね、まだ外の刺激は強いと思うからすぐに帰ってきましょうね」
先生は私の頭を撫でてそう笑った。
何処に行くのと聞くと、とても大事なところ、貴方がお兄さんどずっと一緒いるために行かなければならないのと言う。
「凪は何もしなくていいわ。ただ私の隣で大人しくしていてね」
そろそろ時間ねと言った先生の後ろに大きくて暗い靄が現れた。
その先に行かないといけないのだろうが、なんだかとても怖かった。先生は動けない私をみて優しく笑う。
「何も怖いことはないわ、安心して」
私があなたに嘘をついたことはないでしょ?そう伸びてきた手が私の頬に触れる。耳元で囁くように「ついてきて」と言葉を吹きこまれる。
なんだかとっても頭がぼーっとする。
うんと頷いて止まっていた足を踏み出すし靄の中に入る。
どうしてあんなに怖かったのだろう。

*

死柄木は己の本拠地であるバーで苛立ちを隠せないでいた。
その原因は、ここ最近での彼の周りで起きている出来事によるものである。
一つはヒーロー殺しのステインの件
もう一つはヴィラン連合においての賛同者探しだ。
この前のガキと礼儀知らずといい己の勘に障る奴らが多い。
「死柄木弔、間もなくです。」
カウンターの方にいる黒霧がそう告げる。
そうして一つのワープゲートが現れ、そこから約二人の人影見えてくる。
出てきたのは女が二人。白と黒の奴らだった。
「はじめまして、死柄木弔さん」
お会いできて光栄です。全身黒い服の女が自分にそう告げて胡散臭い笑いを浮かべる。
「AFOとは昔からのお付き合いでして、今回はそのご縁もあってよばれました。私はワラキア彼女は私の連れの凪です」
そうって隣に居たガキを指す。こちらはこの季節だというのに白いセーターをき、目は何処を見ているのかもわからない奴だった。
「なんだそいつ、ネジでも抜けてんのか」
「そうですね、彼女は私の研究作品でしてその影響かと。でも何も問題はありませんよ。」
問題はあるだろう。こんな奴らが連合に入りるつもりなのだろうか。
苛立ちがさらに強くなる。
先生が推薦したいと言っていた奴だからこの話に乗ったのに。どういうことだ。
【弔、彼女はとても優秀だ、そして恐ろしく冷酷で君の役にきっと立つ】
あの人の言葉がよみがえる。
「お前らをヴィラン連合にいれて何の役に立つ。あんたは別にいい問題はそっちのガキだ」
ガキは自分の声が聞こえていないのか、ワラキアと名乗った女に「お兄ちゃんはいないの?」と聞いている無視されたことも重なり米神に青筋が浮かぶ。
もういいこのままこのガキを破壊してしまおうと手を伸ばした。カウンターから黒霧が止める声が聞こえるがもう遅い。
この前の様にあいつが入る前に事は済む。
ハズだった。

吐く息が白い。
「死柄木弔さん。大丈夫ですか?」
女が何事もなかったかのように微笑みを浮かべてこちらを見る。
何が起こった?
俺は今なぜ動けない、この手足を拘束する氷は何処から出生まれた。
そして何より、この部屋全体が一瞬にして氷漬けだ。
この女の様子から、ガキの仕業で間違いない、氷の個性は理解できる。
だが、すべて瞬く間もない間の出来事。
「彼女の個性です、驚かせてしまいましたね。すいません」
貴方が凪に危害を加えようとしなければ起きなかったのですが。と謝罪しているのかいないのかよくわからないことをほざいてくる。
黒霧が俺の腕や足を拘束する氷に湯をかけ溶かす。
「随分と強力な個性ですね。」
「はい、私がそのように作り上げましたから」
黒霧の質問にそう答えた、作り上げたとはどういうことか?そうさらに聞く。
ワラキアはにんまりと笑い、自分の研究は人間の限界についてですと口を開いた。

*
人類の脳はいまだ3%程しか活用されていない、ではそれを100%活用すれば人はどうなるのか、どこまでの先に進めるのかと言うのを研究しております。何年も何十年も。自力ではそこまで活用することができないのです。なぜなら本能的にそれを抑制していしまうので。
恐らくオーバーヒートと言うのでしょうね、それを無意識に抑え込んでしまうのです。なのでその抑え込んでしまう枷を壊してしまうのです。その為にある装置、小さなチップですがそれを頭に埋め込みました。彼女はその成功例の一号機です。
この活性によりこのように個性の威力も上がったという事です。
先程ネジが飛んでいると言いましたね、
ええその通りです。
凪は狂っております。
6歳から以前の記憶は全くありません。そしてそれからの記憶も非常にあいまいです。
自分がだれでどこから来たのかも。
碌に記憶していないのですが、そんなことはどうでもいい事です。
ただ意識の安定が悪かったのですがそのことについてもこの前解決の糸口が見つかりましたのでご安心を。
研究の障害になるようなことではないので。
物事の知識はあります装置にそのように情報を常に送り続けておりそこから脳に蓄えさせております。
今後は肉体側の強化に重点置いた研究の予定です。
ゆくゆくは
*

「どんなヒーローをも殺せる作品が出来上がると思っております」
その様子は何か夢を見るかのように語るようだった。
「どんなヒーローつーのは、オールマイトもか」
その問いにワラキアはいずれはと答える。
氷が無くなりドサリとソファーに腰を掛ける。あの忌々しいナンバー1ヒーローも超えることがそのガキが。
「やってみろよやれるものなら」
ただ少しコイツの研究にもその作品とやらにも興味がわいた。
「見てめてやるよ、お前らの加入に」

ガキは最後まで俺と目が合うことはなかった