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39


どうしよう、どうしよう、どうしよう
ビビが泣いてる。
ビビを護っていた男の人も、身を亡ぼす水を飲んだ人たちも皆倒れている。
あいつは傷一つ着いておらず、愉快をそうに笑っている。

―この国の雨を奪ったのは誰なんだ!!?―

ここまでたどり着いた反乱軍の人がそうビビに問う。
でももうこの人の中では答えは出ているはずだ、この現状を目の当たりにしているのだから。
「俺さ……コーザ」
全て俺が仕組んだことだ、クロコダイル自らネタ晴らしをした。きっともう止まらないとわかっているからだ。
こいつは楽しんでいるんだ、必死に足掻くビビをみて、この国の人たちをみて楽しんでいる。がんばってがんばってたどり着いた手を平気で踏みつけるんだ。
男の人チャカがクロコダイルの相手をしているうちにコーザと呼ばれていた人が国王軍と一緒に白旗を振った、国王軍、反乱軍がついに相対する。
彼の声ならビビの声ならまだきっと届くはず。
お願いです止まってください。
お願いです彼女をこれ以上悲しませないでください。
そう祈った瞬間、
数発の銃声がなりコーザが倒れた。一緒にいった国王軍から撃たれたようだ。
なんで?どうして?
ハハハと愉快そうに笑うクロコダイルの声が聞こえる。
そして低く鳴り響く砂嵐。
コイツのせいだ、全部こいつがやったんだ。
許さない、絶対にお前を
「許さない」
「動けないガキが何を言っているお前もよく見とけ」
この国の終わりを。そして低く鳴り響く砂嵐か怒った。

怒号が響く、銃声が鳴る。
武器のぶつかる音が、それらを全て混ぜた嫌な音がする。
今までで一番嫌いな音がする。あの日の音よりもずっと大きくて怖いそんな音が。
―シロ喧嘩は嫌いか?
―見るのも、するのも嫌いか?
―でもなこれからでっけー喧嘩見ることになるんだ。
―大丈夫なのか?
船長怖いよ、私頑張れないよ。
音がうるさすぎて、頭が痛い。
膝をついて崩れ落ちるビビにあいつがじわりじわりと近づいていく。
ビビのお父さんが逃げてと叫ぶ、けど彼女はあいつに立ち向かった。
まだ、まだ時間があると、そう震える足でまた再び立ち上がる。
そんなビビを憐れむように嘲笑うように、理想論だと笑い、浅はかな考えだと馬鹿にした。
あいつの手が彼女の首を掴むとそのままお城の端まで歩いていく。
なにをしようとしているのかわかる。
止めて、お願いやめて。
ついにビビが塀の外でつるされる、支えているのは、あいつの手だけ。
どうしよう、どうしよう、どうしたらいい。
誰かあいつからビビを助けて。この音を止めて。
「お前に国は救えない」
サラッとビビを掴む手が砂になる。
彼女が下に落ちていく。
お願い、お願いします。

「誰かたすけて」

ボロりと涙がこぼれて、地面に落ちる。
ふと、何か鳥の羽ばたきが聞こえた、それは力強く羽ばたく音、こちらに向かってそれはやってきている。
上手く動けない体で何とか音のする方を見ると、太陽の近くに小さな影が見えた。あれを私は知っている。
鳥じゃない、それに乗っている人を知っていた。
この世で一番頼りになる人、今一番合いたくてしょうがなかった、ずっと心の中で呼んでいた。
「クロコダイル〜〜〜〜!!!!」
「せんちょー!!!」
我らの船長がそこにいた。


*

ルフィはビビの護衛であったペルの背中に乗り、城から落とされたビビを間一髪のところで抱き留めた。
鳥になり羽ばたく彼の背から下を見るとそこでは嵐が起きている。
間に合わなかった防ぐことはできなかった。しかし、まだ終わったわけじゃない、まだ止めることはできるはずだ。自分達がビビが折れなければ。
彼女はもう自分の声はもう届かない誰にも届かないと震え絶望の淵に立っていた。
でもそれは間違っているとルフィは思う、何故ならば聞こえるからだ。
「心配すんな」
今も聞こえている。
「お前の声ならおれ達に聞こえてる!!!」
彼女の声は願いは今もルフィにちゃんと届いているのだから。
城近くにおりて上を見上げる、そこには倒すべき敵が自分を見下ろしていた。
ペルとビビがルフィの心配をする、彼ならと思っている反面クロコダイルは強敵だ、油断すればすぐにやられてしまう
「もう……負けねェさ」
そう二人に、己に言い聞かせるように断言する。
クロコダイルがいる場所まで届くように腕に力をこめる、そのさなかルフィの名を呼ぶ慣れ親しんだ声が彼らの耳に届いた。
それは続々と増えてくる。
ルフィの姿をみて驚くチョッパーが、泣くウソップが。その後ろからマツゲを連れてサンジが現れる。
逆の方からウソップに怒りの声を上げるナミが、体中に酷い傷を負ったゾロが皆酷く汚れ傷だらけであるが、また再び終結した。
一度別れた、もしかしたらもう会うことが出来ないそうおもっていた人たちが無事でいる。
その事にビビに安堵の表情が浮かぶ。
「悪ぃ、みんなおれあいつにいっぺん負けちまったんだ」
そうルフィは仲間達の顔を見た。負けてしまった、奪われてしまった。此処に居ないもう一人の仲間を。
「だからもう負けねェ!!!シロも連れ戻す」
あとよろしく。おれは勝たないといけない、取り返さないといけない。
「お前が勝てなきゃ誰が勝てるってんだ!!!」
「さっさと行ってこい」
自分の勝利を信じている彼らがそうルフィを送る。
「終わりにするぞ!!!全部!!!」
自分はあの子供に言わなければ。あって言わなければいけない事がある。
そして彼は飛び出した。
どんどん近づいていくクロコダイルの顔面に向かって拳を振るう。
それはあの時とは違い、確実に奴の顔をとらえた、砂の感触はない。
予想だにしていなかった出来事にクロコダイルは対応しきれていない、その隙を見逃すことのなく第二撃目をルフィは食らわせた。
「立て」
吹き飛び倒れる彼にそう言い放つ。
予想していたとおりだ、あの砂漠で、ユバの水で触れた奴の手が砂にならなかった。
クロコダイルは水に触れれば能力が出せない。
仮説は今立証された。
だから、この男は雨を奪うのだ、自分の天敵だから。
そして、辺りを見ると探していた子供を見つけた。
最後に見た時よりも酷い怪我をしている。きっとあの後酷いことをされたのだと直感した。
「シロ!!!」
ルフィは子供の名前を呼んだそして叫んだ。
「俺は生きてる!!だから待ってろ!!」
すぐに助ける。
あの砂漠での約束を今果たそう、そうルフィは拳を構えた。

これでお前をブッ飛ばせる、こっからがケンカだぞ!!!