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38


ビビは今生まれ育った王宮に再び足をつけた。

自分の為に愛鳥が仲間たちが命を賭けてここまで送り届けてくれた。
震える足に喝をいれ歩みを進める。
今この時間この国のどこかで、皆が戦っている。
己が止まっている暇なんて一秒もない。
やれることは何だって、その先に希望があるならどんなことだって。
自分はやるべきなのだ、だって
(だって私はこの国を…)

「王宮を破壊して」

幼き頃から使えている黒髪の男チャカにそう指示を出した。
辺りの兵士に動揺が走る、でも私は気が狂ったわけでもない、この暴動を止めることができるなら、きっと父もそうしたのだろう。
―国とは人なのだ―
何度もそう教え込まれてきた。

国とは何か?
この土地か?否
この王宮か?否
ならば
この土地に住む人か?
然り

ならば為すべきことはおのずとわかる。
守るべきものを私は間違えない。

火薬の準備が整うまでのわずかな時間
王宮から城下を見下ろす。
変わり果ててしまった、大事な国。
今でも涙を血を流し続けている。
大丈夫、まだ大丈夫この国はまだ死んでない。
あの男の手に落ちていない、握る手に力が入る。

さぁ、はじめようと思った時、聞きたくもないあの声と砂の音が聞こえてきた。

「困るねェ……」
クロコダイルがいつの間にかに自分達を見下ろす場所に腰を下ろしていた。
なぜこいつが此処に居る?
あの時別れたルフィは何処に?シロさんは?
そんな疑問が頭の中を駆け巡る。
「ここは直におれの家になるんだぜ?」

*

遠くの方から、沢山の人の声が聞こえてきた。
最初は何を言っているのかよくわかなかったけれど、だんだんとハッキリと聞こえてくる、ビビ様とかチャカ様とか、チャカて誰だろう。
そのあたりでようやく自分が外にいるんだとわかった。
目を開けようとするが頭がガンガンと痛い、体全部が痛くて気持ち悪くて、
それに少し寒い。
ドサッと誰かに投げられて地面にぶつかった、痛いけど声が出ない。
「…シロさん!?」
近くでビビの声が聞こえた、すごく怒ってる。割れるのじゃないかと思うくらいに痛む頭を上げて声のするほうを何とか目を開けて見る
「ビビ…?」
そこにはビビと男の人がいて、怖い顔をしてこっちを見てる。目に映った彼女は泥だらけで沢山怪我をしていた。
私の声が届いたのかビビは私に駆け寄ろうとしているがそれを男の人が止めている。
「あぁ起きたかサラマンダー」
首のあたりの服を掴まれ持ち上げられる。この声は知ってる、気を失う前に聞いた声、
船長に酷い事をしたクロコダイルの声だ。
「お前もこの王女にいってやれ麦わらのルフィは死んだと、自分の目の前で砂に飲まれていくのを見たと」
お前が言った方がこいつも信じるだろう。あの砂漠での光景が目に浮かぶ。
苦しそうな声を上げる船長、砂嵐。この男の笑い声、そして死ぬほどの痛み。
だんだん鮮明に思い出されていく、船長が大きな砂の渦の中に飲まれていく光景が。
「ビビ…せん…ちょーは…」
ぼたぼたと涙がこぼれてくる。
ビビの顔がどんどん青ざめていくのが見える、「嘘…」とこぼれる声。
船長が…とその先を紡ごうとした時に

【シロ泣くなよ】
船長の声が聞こえた気がした。
この場に居ないはずの声が聞こえた気がした。
朦朧としてる意識のせいかもしれない。自分の願望かもしれない、でも聞こえた確かに今彼の声が。
「せんちょー…死んでないよ」
いきてるよ。だからきっと船長は大丈夫だそう言い聞かせるように答える。
私の言葉が予想外だったのか、クロコダイルも皆も驚いているようだった。
「せんちょ―のこえ…聞こえたの。だから…ビビ…だいじょうぶだよ…嫌なこと…全部もうすぐ…終わるよ…」
だから大丈夫だよそう続けようとしたら、地面に叩きつけられ息が詰まる。クロコダイルがガキの夢物語の時間じゃねェとまた懐からのあの注射器を取り出すのが見えた。
動かない体で為すすべもなく腕をとらえた時、クロコダイルの傍にいる女の人が止めに入ってきた。
「これ以上屠竜花の薬を打つのはおすすめしないわ」
「このガキを偉く気にするな、ミス・オールサンデー、何を考えている?」
「別に、ただこの子には利用価値があると思っての助言よ、この子はさっき大量の血液もとったし」
この子に死なれたら困るのでしょうとチラリと私の方を見る。
その眼はなんだかクロコダイルとは違う、私が寝込んだ時に看病してくれていたビビと同じ感じがした。
「血液…?薬?お前、シロさんに何をしたの!?」
「俺はガキの声が嫌いなんでな、竜によく聞く毒を打ったそれだけだ」
ビビの言葉になんて事の内容にクロコダイルがなんて事の内容にいう。想像以上の効き目でなのたうち回るコイツの様子は滑稽でなかなかの見物だったと笑う奴に彼女は今にもとびかかりそうな勢いだ。
「なんて、何てひどいことを!!!」
「もとはこれは俺の部下が採ってきた物をお前たちが勝手に連れていただけだ。どう扱おうが俺の自由だ、さて話を戻そう。コブラ」
プルトン【古代兵器】の場所を、それを記したポーネグリフ【歴史の本文】の場所は何処にある?
言わないならそれでもかまわない。あと30分後にこの広場が消し飛びそのあとに探すのでも。でもそれは嫌だろう国王様。
なんせその爆弾にはコレ【サラマンダー】の血液が入ってる。知っているか、こいつらの血は万能の薬にもなるがそのほかにも使い道は山とある。
エネルギーを増長させることも可能だ、この広場を跡形もなく消し飛ばせるように少し加えさせてもらったよ、恐らく。
「塵一つ残らねぇだろうな。」
国が大事なんだろう国王様?クロコダイルは壁に貼り付けられている人にそう詰め寄る。
この人はきっとビビのお父さんだ。
その人はぐっと唇をかんでそしてゆっくりと口を開いた。
「案内しよう…」
だからもうその子にも娘にも

手を出さないでくれ。