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34


―やめた―
船長はそういって砂漠に座り込んだ。


それは、ユバで一夜を明かした次の日の事だ。
トトさんと船長で掘った穴から採れたお水をもらって、私たちはもと来た道を戻っている最中だった。
その間船長はずーっと喋らないでんんーと考え事をしていて、そして唐突にすわってそうこぼした。

これにはみんなびっくりしている。
だってあんなに張り切っていた船長がこんなこと言うのだもん。
ウソップやサンジが早く行こうと船長に言っているけど、彼はつまらないと言って動こうといない。
船長はクロコダイルをブッ飛ばしたいといった。
反乱を止めるのに、自分たちは海賊だからいないほうが良い。
第一に反乱を止めたら元凶のクロコダイルは止まるのか?
否止まらないだろう。きっと何度でも違う手段でアラバスタに傷を負わせる。
船長の考えに皆黙ってしまう。
だって彼の言ってることはとってもとっても単純だけど、核を得ているから。
ビビはそんな中誰も死んでほしくないと思っている。国の人も私たちも。
皆無事ならばいいと思っている。
そんな彼女に船長はジッと見据えるて「甘いんじゃねェのか」と言った。
ビビと船長の雰囲気に居ても立っても居られなくて、ゾロの服をつかむ。
「せんちょー怖いよ、ビビも怖いよ。」
「必要な事だ。」
ゾロは何も言うつもりがないようで、そのまま二人の様子を見ているつもりらしい。
そんなことを話している間にも二人の言い合いが続き、
パンっ!とビビが船長の事を打った。
彼女がすっごい怖い顔で船長を怒鳴った。
反乱軍も国王軍も誰も悪くないのに誰かが死んでしまう、それが嫌だから止めに行く。
だってそんなのあんまりだ、悪いのはクロコダイルなのにと、だから自分は命を賭ける。
そんな彼女に船長は納得できなかった。
なんでビビだけ命を賭けるのか?ビビの命もなくなっていいものじゃない。
船長が起き上がってビビをグーで殴った。
そこから二人がボコボコバシバシと殴って、打って。
そんな光景診ていたくなくてゾロの影に隠れて耳をふさいだ。
喧嘩の音は嫌いだ。
船で船長がナミちゃんやサンジに怒られてるのは全然平気なのに。
喧嘩の音はどうしてもだめだ、なんでだろう。
でもこの喧嘩はきっと必要な喧嘩だ。
私も船長たちの仲間なら見ていなくちゃならない事だ。
けれど、わかってはいるけれど駄目だ良くない景色が見えてくる。
頭の奥の奥の奥から良くない怖い【全部壊れた日】景色が出てくる。
ただ小さく「うぇぇ」とこぼした。

*
「おれ達の命くらい一緒に賭けてみろ仲間だろうが!!!!」
ルフィの言葉にビビの目から涙がこぼれる。
この国にきてやっと流すことができた雫だった。
本当は彼女が一番あの男をブッ飛ばしてやりたいのだろうと、全員が解っていた。
だから、ルフィは行こうという。
元凶【クロコダイル】の元へ。
麦わらの海賊たちのこれからの方針が決まった。
一同が、気持ちを新たに歩みを進めようとした時に、ゾロがルフィを呼ぶ。
「行くのは、こいつの事何とかしてからだ。」
そう言って自分の後方を指す。
何だ何だと彼の背中の方に回るとシロが耳を塞いでしゃがみこんでいた。
「シロ!?どうしちまったんだ!?」
「シロちゃんどっか具合でも悪いのか?」
ビビとルフィが殴り合いし始めたらくらいからこうなってしまったらしく、チョッパーが気持ち悪いのかと聞くと首を微かに横に振るのが見えた。
シロはルフィとビビの名前を呼ぶ
二人がどうしたと近寄ると、「もう喧嘩してない?」と小さい声が聞こえてきた。
「ごめんなさいシロさん、びっくりしたのよね」
もうしてないから安心してとビビはシロの頭を撫でた。
「シロ喧嘩は嫌いか?」
ルフィの問いに彼女はうんと答える。
「見るのも、するのも嫌いか?」
「うん」
「でもなこれからでっけー喧嘩見ることになるんだ。」
「うん」
大丈夫なのか?それに対してちょっとだまってから、シロは顔を上げた。
「がんばる。」
その顔は少し頼りなさそうな表情であったが、その声はまっすぐとしている。
うん、頑張れ。そう頷いてルフィはシロの手をとって立ち上がらせた。
行こう、クロコダイルの元へ。

この国がもう傷つかないように