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33


トカゲのお肉を食べた後またユバに向かって歩き出す。
あのトカゲに船長と追われていた、ラクダが助けてくれた恩だと言って。
ナミちゃんとビビを載せてくれるそうで少しだけ旅が楽になった。
ちなみに男の人は載せないと言っていたらしいこのラクダは、私を見てちょっと大きく鼻で笑った。
チョッパーが言うには
「あと5年たったら載せてやるよお嬢ちゃん」
らしい。別に乗りたいと思ってないから良いけど。ほんとに全然思ってなかった。
だから悔しいなんて思ってない。ちょっと小石を蹴飛ばしたら、ウソップに気にするなと肩を叩かれた。


暖かくて砂漠は良いところだと思っていた。お昼までは。
「シロ大丈夫か?もうすぐ着くみたいだからな!」
頑張れとチョッパーは私を抱きかかけながら歩いてくれている。
太陽が沈んだとたんに気温が一気に下がってしまい、歩けなくなったのだ。
寒い寒いとぐりぐりとチョッパーにすりつきながらちょっとでも暖をとる。
「ごめんチョッパー」
「気にすんな、俺は寒いの得意だから平気だ。」
明日のお昼は自分が運んであげると言うと、うーんとちょっと遠慮しとくと返された。
なんでも、自分は男なのに私に運んでもらうのは何か抵抗?があるらしい。
ゾロに運んでもらうのは平気なのになんでだろうと思っていると。
「男のプライドにかかわる事だ。やめておけ」
隣でウソップを抱えながら歩いていたゾロに止められた。そのかわりにコイツ運んでやれとウソップを指さす。ウソップも男なのに良いのかな。

「あそこ!!明かりが見える!?」
前を歩くビビの声にそっちを向くと風で巻き起こる砂の向こう側にぼんやりと光が見えた。
着いたんだと皆が喜んだのもつかの間。
なにか様子がおかしい、さっきよりも風が強くなり地響きが大きく聞こえてくる。
音は前方の町の方から聞こえてくる。
進みながら、よく目を凝らすと、音の原因が見えてきた。
「砂嵐!!!!」
ユバの町が巨大な砂嵐に恐れている。
ビビが今にも駆け出しそうなのを耐えている姿が目に入った。町に居る人たちが大丈夫かと行きたくてもあまりに大きい嵐で近づくことができない。
ただ収まるのを待つしかなかった。

*
ようやく嵐が収まり、町に向かうと辺り一面が砂だらけで、人がいるようには思えない。
前に寄った町と同じ風景に「そんな…」とビビは呆然としていた。
彼女の記憶の中の町と今とはそこまで違うという事なんだと思う。
オアシスと聞いていたので、この様子はなかなかに衝撃が大きい、オアシスじゃなかったのかというというに、砂で地面が上に上がってしまい、水のあるところが埋まってしまったんだとビビは答えた。
求めていた、オアシスが消えてしまい、これからどうしようと思っていると、少し先に人影が見えた。酷く痩せたおじいさんだ。
私たちを砂漠を旅してきた人と思っているようで、此処は今少し枯れてしまっていることを教えてくれた。
ビビは顔が見えないように隠しながらその人に反乱軍がいると聞いてここに来たと言ったとたんにおじいさんは眼の色変えて私たちを怒鳴ってくる。そしてその人たちは今此処には居ないと投げ捨てるように答え、地面をシャベルで掘り返し始めた。
先ほどの砂嵐は今に起きたことではなく、雨が降らなく日照り続きで、頻繁に砂嵐に襲われるようになり、水も食料もない子の町でなく、違うところに場所を移したと話してくれる。
その場所は一番最初に居た町の隣にあるカトレアというところで、結局私はここに来た意味はなにもなかったのだ。
その話をしているときに船長が思わずビビの名前を口にしてしまう。あっと思ったけど遅くて、おじいさんの耳にも届いてしまった。
慌てて誤魔化そうとしたら、彼の様子は予想とは違い。ビビの事をビビちゃんと昔から知っているように懐かしむかの如く話しかけてきた。
ビビは最初誰かわかっていなかったようだけれど何かに気が付いたように口を手で覆い息をのむ
「トトおじさん?」
そう呼ばれたおじいさんはそうだと答え、目かな涙をこぼして始める。自分は国王を信じている。人を裏切る人ではない、だから。
「反乱軍を止めてくれ!!!」
もう君しかいないんだと、膝をついて座り込んでしまった。

*

まだこの国の大半はビビのお父さんのことを信じているらしい。けど反乱軍は進みだしてしまった。
トトさんは何度も何度も何度も止めた、けどそれはもう止まるこはもうできなくなっていた。
ただ進み続ける事しかできないそれは、次第にすり減り、もう限界だという。
恐らく次に怒る戦いで、終わりに、死んでしまうつもりなのだ。
「頼むビビちゃんあの馬鹿どもを止めてくれ」
そう涙をこぼすトトさんにビビはハンカチを渡して大丈夫と安心させるように
「反乱はきっと止めるから!」
とそう微笑んだ。
その表情は何処か歪で不安になり、そっと船長の方を見ると、船長も何か考えているようでただ二人の事をみていた。

出発はまた明日にする事になり、今夜はここに泊まる事となった。
一日中あるいて、みんな疲れているはずなのに、なぜか目の前では盛大な枕投げが起きている。その枕投げの中に船長に姿がなかった。
こういう時に一番張り切りそうなのにどうしたんだろうと、こっそりと外に出て探してみると、船長はトトさんと一緒にいた。
何をしているのだろうと近づいてみる。
「ユバはね…砂なんかには負けないよ。何度でも掘り返して見せる。ここは私が国王様から預かった大切な土地なんだ!!」
そういってトトさんが地面をほっていた。彼はきっとオアシスを戻そうとしているのだ、たった一人で戦っていたのだ。

皆、大事な物のために戦っている