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30



エースに背負われて、船長たちの居るほうへと向かう。
不思議なことに誰とも会わない。
誰とも会わないねと言うと、そういう道を通ってるからなと返されたので、人がいないのが解るのとさらに聞くと、まぁなと少し得意げに返された。
さすが船長のお兄さんだなと思った。
それから少しエースと話をした。
エースも海賊らしく船長よりはやく海に出たらしい。それから今まで船長には会ってなかったみたいであいつはちっとも変わってないなと笑った。小さいころから船長は船長なんだとちょっと面白くてつられて笑ってしまう。

「エースは私を見てびっくりしないね」
「なんか驚くことあんのか?」
「だって頭に角あるし、さっき火を吐いたし…」
私の言葉に彼は何だそんなことかとなんてことないように言う。
自分は、人だが悪魔の実で炎がつかえる。
海は広い、今まで見たことのない姿をしたやつらに沢山あって来た、頭に角が生えただけの子供なんて今更驚くことなんかないそれに、
「会ったことがあるからな、人型の竜に。雰囲気つーかまぁ似てたからな、そうなんじゃねぇかなと思った。」
エースの言葉に思わず身を乗り出して、人型に会ったことあるの!?どんな人だった!?と聞く。
ちょっと勢いが強かったのか、彼は少し前につんのめってしまう。
「お前元気だな」
「今りょーよー中!これからもっと元気になる!」
ねぇ、どんな人だった?とさっきの話の続きをせかす。

「あったのはガキの頃だ。」
*
俺たちが住んでいた島にある秋の季節ににふらっと来たんだ。
不思議な奴だった。秋になると現れて、春ごろにどっか行っちまう。
俺が一人の時にしか絶対出会えないそんな奴だ。
会う前からまるで俺のことを全部知っているような態度でよ。
何もかも見透かされているようで最初は気味が悪かった。
だから聞いたんだ、お前は誰だって、そしたらあいつ言ったんだ。
『当ててみなよ』
俺もムキになって正体を暴いてやろうとしたが、何をしても全部あしらわれて終わった。
そんなことして数年たった頃にもうここには来れないって言ってきた。

―エース、あの時の君の問いに答えよう―

理由は知らねぇでも、そいつが言うからそうなんだってなぜか納得した。
だけどもう来れないなら俺が合いに行けばいいて思ったから、悲しくはなかった。

―僕は、君を   者だ、それだけは覚えていてほしい―

*
本当の姿で海の向こうに行っちまった。それからはあってねぇと言うその声はさっきよりもちょっと静かで、寂しそうな声だった。
「ほんとのはどうだった?」
「今でもよく覚えてる。すげぇ綺麗だった。」
自分の事じゃないけれど少しうれしくなった。会いたい?と聞くとエースはもちろんだと答える。会って礼が言いたいと強くはっきりと言った。
何に対してとかどうしてとか聞かなかったけれど、きっとその竜はエースに何かすごい事をしたんじゃないかなと思う。
「海は広いから」
どこかできっと会えるよと言うとそうだなと彼は笑った。

*
海岸につくと小さな小船が一つ浮かんでいる、これがエースの船らしい。
「ちいさいね」
「一人用だからな、落ちるなよ」
そういうとエースは足から炎を出して、船を進め出す。
メリー号とは違って海面がすぐ近くにあり、水しぶきが時折かかる。それが楽しくて船から少し身を出して海面を見ているとエースに首の後ろあたりの服をつかまれて元の位置に戻された。
「落ちたら助けられねぇんだから大人しくしとけ」
「はーい」
「返事だけは一人前だな」
見えてきたぜと彼が指さす方を見ると、慣れ親しんだ羊の船首の船が見えた。
ちょっとしか離れていなかったのに、とても久しぶりな気分でちょっと鼻がツンとする。
メリー号に近づいていくと、みんなの話声が聞こえる。
どうやら今船長はエースの話をしているみたいで、強いとかすごいとかの言葉が聞こえてくる。それが聞こえていたのかすごくうれしそうで、多分彼は船長の事すごく好きなんだなと思う。
「今やったらおれが勝つね」
そう笑う船長の言葉にエースは「お前が誰に勝てるって?」と私を抱えてメリー号の柵に飛び乗った。そのまま柵から降りて、みんな〜〜!と走っていくと全員無事でよかったと私を迎えてくれた。うれしくて、ほっとしてちょっと涙が出てしまう。
「お前相変わらず良く泣くな。」
情けねぇ面しやがってとゾロがちょっと呆れたように言うが、出てくるものはしょうがない。
私たちの再会からの賑わいがちょっと落ち着いてたのを見計らってエースは口を開く。
「あーこいつはどうもみなさんうちの弟がお世話に」
それに対しての「やーまったく」と言う満場一致の返事に彼は笑う。そして船長に自分の海賊団【白髭海賊団】に来ないかと誘いを持ちかけた。

いやだ、即答する船長にやっぱりなとエースは笑った。