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29


「せ〜んちょ〜、ナミちゃ〜ん、みんな〜」
少し進んで、物陰に隠れる。またちょっと進んで、隠れる。
船長に飛ばされた後に誰もいないところに転がり落ちてからずっとこの調子でみんなを探しているが。
自分がどこに落ちたのかも、どの方向に行くのが正しいのかも全くわからない。
船長を追っていた人たちに見つからないように行くため下手に行動もできない、さらに問題なのは。
「布落とした…」
あのお店でもらった頭に巻く布を飛ばされた拍子に外れてどこかに行ってしまったのだ。どこにBWの人たちがいるかわからないこの状況でこれはかなりまずいのではないか。
もし、捕まってしまったら船長たちに二度と会えなくなってしまうのではないか、またあの頃のようになってしまうのではないか…嫌なことばっかりが浮かんでくる。
どうしようどうしようどうしよう…頭の中がうまく整理できないでいると後ろのほうから足音が聞こえた。
我に返って近くにあった物陰に飛び込む。足音は近づいて来ていて、時々止まってあたりを探っている。ただここを通るのではなく、まるで何かを探しているような感じだ。
「おかしいな、声が聞こえた気がしたんだが…」
「…っ」
思わず出そうになった声を両手で抑え込む。
音の主は何かを探しているのでなく、誰かを探しているのだ。声と言うのは恐らく私のだ。
この人は自分を探している。何のために?そんなのは簡単だ。
アラバスタで私と言う存在を知っているのは、船長達とBWどちらかだ、声は知らない物、だから
(BWだ…)
一人だけなら火を吹けばなんとかなるかもしれない、でも仲間が近くにいたら?逃げ切る自信はない。そんなことを考えているうちにどんどん音は近づいて来ている。思わず身を小さくする。このまま、相手が行くのを待つのが自分にできる最善策だとおもった。
心臓の音がうるさい。呼吸も聞かれないよう小さく静かにする。
早く通り過ぎてと念じ続ける。
しゃがんで隠れているので視線はずっと地面だった。隠れている物の影から自分のものが出ないよう注意を払っていた。その陰の形がふと変わったのだ。
恐る恐る上を見上げると
「見っけ」
それと目が合った。

*

「ばっっっっっっかじゃないの!!!???」
拳を震わせるナミの怒号でメリー号全体が揺れた…気がした。
そのあまりの迫力に誰も口をはさむことができないでいたが、殴られて吹っ飛んだルフィにとどめの一撃をしようとしたところでビビが慌てて取り押さえる。
「ルフィあんた何で、シロを敵地の中に置いて来てんのよ!?」
ビビがカルーを送り出した後
合流したルフィから捕まるかもしれないかったからシロと別れてきた。と言われたときに全員がふらりと気が遠くなりかけた。
上陸して半日も立っていない内に一番危惧していたことが、自分たちの船長のおかげで起きてしまったのだ。ナミが怒り狂うのも仕方のないことだと思う。
「だってよーそのほうが良いとと思ったんだよ」
いててと起き上がるルフィは口をとがらせる。
「はぐれちまったのは仕方ねぇ、今はどうシロを見つけるかが先決だ」
ゾロの一言にナミも少し落ち着きを取り戻す。
「チョッパー、お前の鼻でシロ探せないか?」
「多分無理だ、香水とかの匂いが強くてシロの匂いがわからないと思う。」
海軍もまだ町に居るはずだすぐには引き返すことはできない。
どうするかと全員が頭を抱える。
そんな中、大丈夫お前らそんなあわてるなよとからからと笑うルフィの頭上に足と拳と刀等々が降り注ぐのはそのあとすぐの事だった。
「何を根拠に大丈夫なのよ!!!」
「エースもさっきシロの事探してくれるって言ってたから何とかなるだろ!」
エースって誰だよと誰かがつぶやいた。

*

「俺はルフィから頼まれてお前を探してたんだって」
敵じゃねぇよと足音の主であった、オレンジ色の帽子をかぶった半裸の男は私にを安心させるように声をかけてきた。

目が合った瞬間あらん限りのぎゃああああと言う私の叫びに男が一瞬ひるんだ、その隙に逃げればよかったのだけれど、腰からへなへなと力が抜けて立てなかったのだ。
私の様子に気が付いたのか大丈夫か?と聞いてくる男に向かって何度か火を吐いて威嚇するが何故か聞いていないようで、こちらに伸びてくる手にもう駄目だとぎゅっと目を閉じる。
そのまま私を捕まえると思ったその手は私の頭にポンとふれてよしよしと撫でてきた。
恐る恐る目を開けると男と目が合う。
「なんか怯えさせたみたいだな、悪い。」
俺はエースと自分の名前を名乗りルフィは俺の弟だ。と船長の関係と船長に頼まれて私を探していた事を教えてくれた。
「本当にせんちょーのお兄さん?」
「そうだ」
「せんちょーの好きなものは?」
「食い物なら肉」
「せんちょーのたからものは?」
「麦わら帽子」
迷うことなく答えるエースにおぉと感心すると、信じてもらえたか?と笑った。その顔が船長にすこし似てたから「うん」と頷いた。じゃあルフィのところに行こうぜとエースと一緒に立ち上がっていこうとするが
「あ」
「どうかしたか?」

立てない。腰が抜けちまったみたいだな。
仕方ねェとエースは私を背負ってくれた。エースの背中は大きいドクロが居た