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28


拝啓じじ様。
私は色々大変で辛いこともありましたが、今は良い人たちに出会いまして元気にやっています。
今私は…
「メ――シ――屋――っ!!!!」
「せんちょー!みんな置いてきちゃったよ!!」
アラバスタの大地を駆ける船長の背中の上に居ます。

船を人に見つからないように入り江の影に止めみんなで上陸の準備をしていた時だ。
今か今かと船が止まるのを柵に足をかけて待ち望んでいた船長に、危ないよと言いに行ったら。
船長は私に腹が減ってるかと聞いてきた。ここ数日ろくに食べてなかったので、もちろんと答えると。「よし行くぞ」と私を軽々抱えると。
ぴょーんと柵を蹴り、そのまま町に向かって走り出したのだ。
後ろのほうに小さくなっていく船からみんなの声が聞こえた。ごめんなさい、早々にはぐれてしまいそうです。
「せんちょー帽子わすれてきちゃったよ!だから」
「何!よし飯食ったら!帽子考えよう!」
だから戻ろうよと続けようとしたけれど、お腹を空かしている船長を止めることはできないみたいだ。
もう船の姿形も見えない。ならこのまま町に向かって、みんなが来るのを待ったほうがいいのかもしれない。
「ご飯食べるだけだからね!おとなしくしてようね!絶対だよ!」
メーシー屋!!と走る彼に聞こえているのかわからない。
目の前に町の影が見えてきた。

*

町は賑やかな雰囲気で、とても戦争など起きているとは思えない感じがした。皆すごい顔して自分たちを見ている。
服装も島の人たちは違う人がすごい勢いで走り抜けていくのだから。
「何だろうな変なにおいが邪魔してるぞ?」
船長は鼻をくんくんとさせて辺りを見回している、変なにおいというか強いにおいがするものが沢山混ざっている感じだ。
においのもとは何だろうと、船長の背中からあたりをうかがっていると。
あった!!と船長が完成を上げた。
「あれはメシ屋だ!!!」
「どこ!?」
あれだあれ!と指を指されるが遠すぎてわからない。
「シロしっかりつかまってろよ――落ちるからな!!!」
「えっ?」
落ちるってどういうことだろうと思った時には体がふわっとしていた。
「やっほーーーーう!!!」
すごいスピードで、体が前に進むように引っ張られる、そして
「ロケットーーー!!!」
「わぁぁぁあああ!!!」
私と船長は空を飛んだ。


ドカァン!!!!

飛んだのは良かったのだけれど、船長は着地の仕方を考えてなかったようだ。と言うか元から考えてなかったに違いない。
そのままご飯のお店に頭から突っ込んでお邪魔する形になってしまった。
「うはーーっ!!!メシ屋だ!!!ハラへったー!!!」
お店の壁は大きな音を立てて穴が開いているその先もさらに先も開いているすごい勢いで何か大きな塊が飛んでこないとこんなことにはならない。
その何かとは多分自分たちだったのだろう。
「せんちょーご飯食べるだけって言ったじゃん!おとなしくしてようねって言ったじゃん!」
どうしよう…もう騒ぎを起こしてしまった。ナミちゃんたちに叱られる。
船長はそんなことはちっとも気にしていない様子で、お店の椅子に座るとご飯を催促してた。
「うっっっっめ〜〜〜〜〜〜っ!!!なんてうめェメシ屋なんだここは!!!」
シロもここきて早く食えよ!とまだ穴の近くで固まっていた私を手招きする。
知らない。これは船長がやったんだ、私は悪くない。だから怒られるのは船長だ!半分やけになって、船長の隣に座ると。
「野菜、果物下さい!頭にまく布ください!」と自分もご飯にすることにした
ショリショリバクバクムシャムシャと私と船長の食事の音だけが響く。ある疑問が浮かんだ、
お店の壁は船長がぶつかれば穴が開く、でもその先の穴たちは何かがそのまま飛んでいかないと開かないのではないか?そう思っていた時だった。
「麦わらぁ!!!!」
穴からでっかい男の人が出てきた。この人は船長の事を知っているようなのだけれど。
横を見ると
「……………」
何も話さずただひたすらに料理を口に運んでいる。
「やっぱり来たかこの国へ……」
そんな船長に気にすることなく、彼は話を続けるのだけれど。船長は食事を止める様子はない。痺れを切らして、食うのをやめろ!!!と怒鳴ってきた。
「せんちょ―」
呼んでるよと言うと何か思い出したようで、口からいろいろ吹き出しながら、驚いたよう何か話しているけれど、何もわからない。あと汚い、サンジが見たら怒鳴りそうな感じだ。
船長は残りの料理を急いでかきこんで食べると、私の腕をつかんでそのまま一目散に店を出ていく。
多分あの人は会いたくなかった人なのだろうなとは思ったけれど。お金払うのをわすれてきちゃった…とまた問題ごとが一つ増えてしまった。
お店を出てもと来た道を走っていると、後ろからあの男の人が走ってきている。たしぎィ!!と人の名前を呼んで船長を捕まえろと叫んだ。
「せんちょー来てる!」
「おう!」
船長は前方に構えていた人を寸前で交わして家の上に上るとそのまま屋根の上を駆けていく。
下を見ると、さっきの男の人が白いものに包まれたように見え、黙々としたものがこちらに向かってくる。
「せんちょーなんか来た!」
「おう!」
もくもくから男の人が出てくる。彼もきっと船長と同じ能力者なのだろう。私たちに向かって黙々としたものを飛ばしてきた。
「せんちょーなんか来た!すっごい来た!」
「あれゴム効かねぇんだ!!」
うぇぇえ!?どうしよう!?、どうすっかなー!とやり取りをしているうちにその物体がどんどん近づいてくる。その白いものがあの男のあれと重なる。
だから思わず…。
「こ、こ、こ、こ!」
「シロどうした!?」
こないでぇーーーーーーーーー!!!と炎を吐いたのは、仕方ない。きっと仕方ない。
物体と炎がぶつかって、もくもくが散り散りになりそのままあたりを包む。
「良いこと思いついた!!俺はこのままあいつら引きつれるからシロは別の道からあいつらと合流しろ!」
じゃ!と船長は私をぽーいと投げた。
「せんちょー!!!!」

聞いてないよ――――!!!!