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27


―さぁ行くのよお前達っ!!!
―ハッ!!!Mr.2 ボン・クレー様!!!

アヒルの形をした船が去っていく。その去り際に聞こえた会話に船の中が騒然とした。

*
事の始まりは少し前にさかのぼる

備蓄していた食料が船長たちによって食い尽くされてしまい、食糧難に陥っていた。
海の上に居るため、何処かに買いに行くことも、とってくることもできない。
残っている方法は一つ釣りだった。
船長とウソップの二人が釣り【ちなみにエサはカルーだった。】をしているのを近くで眺めていると、前方に蒸気が立ち込めているのがみえた。
ナミちゃんが言うには、下に火山があってその影響らしく問題がないらしい。
そのまま船は進んでいくと、目の前が真っ白で何も見えなくなる。
少しして蒸気地帯を抜けると、オカマが釣れていた。正しくは餌のカルーにオカマがつかまっていた。
そのオカマは自分の船が迎えに来るまで余興と言って自分の能力を私たちに見せてくれた。船長と同じで悪魔の実の力、マネマネの実。
左手で顔に触れるとその人物になれるらしく、船長たちみんなに化けて見せてくれた。
船長とウソップ、チョッパーは大盛り上がりで彼?の余興を楽しんでいる。
四人で肩を組んでお祭り騒ぎのようで、ナミちゃんに馬鹿が移るからよっちゃだめとすこし距離を取らされた。
そのあとにお迎えのお舟がやってきたため、オカマとは涙のお別れと、互いに友情を分かち合って終わった。

*

はずだった、冒頭の話を聞くまでは。
「Mr.2!!!」
「あいつがMr.2ボン・クレー!!!」
彼の正体に、同じくBWにいたはずのビビも知らなかったらしく驚きの声を上げる。
ガクリと膝をつくビビはMr.2とMr.1には会ったことがなかったようで、能力もなにも解らなかったようでただ噂を少し耳にする程度だったようだ。
その噂のないようが、あのオカマの姿を事細かに説明しているもので、それで気がつかなかったビビに全員が気が付けと突っ込む。
彼女曰くあいつが見せてくれた今までコピーした顔達のなかに、自分の父親の顔もあったみたいで、敵ならば、その顔で何をしているのかは想像をするのは簡単だ。
顔も体も何もかも本物と同じになってしまう、化けられたらみんながみんなを信用できなくなる。
けれど、今ここでMr.2にあったのは幸運でだった。アラバスタにつくまでに奴についての対策が考えられるという事だ。
これから起こる戦いにそなえて船長たちと釣りに戻ることにした。

*

ぐぎゅるるるとお腹の音がなる、何処からではなくてどこからでも聞こえてくる。
何も食べずに航海をすること4日がたった。
「お腹すいた」
「言うなよシロ〜余計にはらがへる〜」
船長が力なく倒れ、肉が食いたいと泣いている。
「せんちょーがんばれ」
「腹減って死にそうだ。」
「そろそろつく頃だってナミちゃん言ってた。」
ついたらすぐに飯屋に行くぞと会話をしていると、船の後ろのほうで大きな水しぶきをあげて巨大なネコのような海獣が現れる。
船長の反応が早かった。さっきまでぐったりしていたのに、爛々と目を輝かせて海獣を仕留めに私を連れて向かう。
「4日ぶりのメシだァ!!!」
「メシだァ!!!!」
「あれ、たべるの!?」
彼らの様子にネコが怖気づいているようで距離をとり始めた。
「逃がすんじゃねェぞ確実に仕留めろ!!!」
「シロ火だ!火吐け!!丸焼きにしろ!」
「うえぇぇ、かわいそうだよーやだよー」
「そんなこと言ってる場合か!!肉だぞ!!」
と船長、ゾロ、サンジの三人に迫られてどうしようもなくなっていると三人の後ろからビビがどこから出したのかこん棒で三人を大人しくさせた。
「食べちゃダメなの!アラバスタで海ねこは神聖な生き物だから」
「食い物が逃げた…」
嘆く船長にビビがもうすぐお腹いっぱい食べられると励ます。
どうやらアラバスタの気候海域に入ったらしく、あの海獣が現れたのも証拠の一つらしい。
見えてくるのは島の影だけではない、BWのマークをした船が何十隻と現れだしたのだ。
自分たちの人数の何倍、何十倍、何百倍の数なのか見当もつかない。
そんな人数を相手にするのだと、実感が沸いてきてしまい、手をぐっと握る。
敗けるわけにはいかない、ビビの為にも、自分の為にも。

*

「ゾロ、きついよ」
「ほどけないようにしてるんだ、当たりまえだろ」
Mr.2の対策のために全員、左腕に包帯を巻く。
うまく負けなくてゾロにお願いしたところがっちりと巻いてくれたのだけど、思いのほかきつくて、血が止まらないか心配になる。
「緩めるなよ」
あとですこし緩めようと思っていた私の考えが読まれていたのか、ゾロはさらにかた結びをする。
「あんな奴が敵の中にいるとわかるとうかつに単独行動出来ねェからな!!」
「特にシロははぐれないように気をつけなさいよ」
「ドラムよりもずっと広いから人一倍気にしたほうが良いわ」
再会するのはすごく難しいともうとビビとナミちゃんに忠告され、頑張ると言ってみたものの、ドラムではぐれたこともありものすごく不安だ。
うえぇぇと力ない声をあげているとチョッパーがそばにきて
「大丈夫だ、はぐれても俺が匂いで見つけてやるからな!」
シロは不思議なにおいがするからすぐわかるぞ!と励ましてくれた。
「不思議なにおい?」
「うーんと、花とか果物とか太陽とかそんなのが混じったにおいがするんだ!」
そうなのかとくんくんと自分の腕を嗅いでみるがわからない。
へんてこなにおいじゃないならいいかと気にしないことにした。
「よし、これから何がおこっても左腕のこれが」
皆が腕に包帯を巻いた手を出す。
「仲間の印だ!!!」

上陸するぞ!!!
ついに来た。砂漠の王国、砂嵐だけじゃない、嵐が起こる気がした。