真3日目 輝 | ナノ

真3日目 輝


ソラが血まみれな上、気を失った状態で返ってきたのはつい昨日のことだ。しかもまだソラは起きそうにない。

「……ソラ」

皆が皆重い空気を纏っている。

「少しいい?」

ライムの声に全員が動きを止めた。

「どうしたの?」
「ソラのことなんだけど……多分ソラは、精神的なアラガミ化が進んでる」
「っ……」
「昨日ソラは一人でヘラを倒した。笑いながらね」
「アラガミ化って…」

トモエの声にアビが頷き、口を開く。

「偏食因子の過剰投与の結果、体細胞が『オラクル細胞』に変異、細胞侵食を引き起こしてアラガミになってまう現象のことを言うんやけど」
「そもそもアラガミ化する条件、私たちに当てはまってないんやない?」

ユイの言葉にも頷く。

「偏食因子の過剰投与、不摂取の可能性はそもそも腕輪であるはずが痣になっている段階で無いよね?」
「じゃあ、山吹は蒼禅の精神的アラガミ化の原因はなんだと思ってるんだ?」
「……まさか」

一つだけ浮かんだ。

「度重なるアラガミ化……」

私が呟くとライムが一度目を伏せた。

「私もついさっきリオウから聞いたんだけど、ソラは最終日、アラガミ…ハンニバルとなって、討伐対象としてリオウと闘っている。そしてソラの雰囲気からして相当な回数同じことをしてる。そうなればいくら毎回体は元に戻っているとはいえ魂は変わらない。精神的に蝕まれていてもおかしくはないよね」

「どうしたら…」
「蒼禅の負担を減らし、かつ、全員無事で向こうに帰ることやろうな」

アビの言葉に皆頷いた。














重たい空気ではあるが今日の任務がスクリーンに映し出された。

『ツクヨミの討伐。出撃者はリオウ、ユイ、アビ、大澤』

マナが読み上げてくれた。
ソラのアドバイスはないが死ぬわけにはいかない。
これ以上、ソラに罪の意識を持たせてはいけない。


「絶対に帰ってくるよ!!」


「おう!!」











「ループ…か」

ふとトモエが呟いた。

「どんな気持ちなんだろう」
「さぁな。少なくとも人の精神がおかしくなるレベルでつらいものだろうな」

珍しく川崎がまともなこと話した!?山吹さんびっくりだよ!




「うっ……」
「ソラ!?」

急に魘されだしたソラに近寄り、体を揺するも起きる気配はない。

「……ス………アリ…ス…」
「アリス…?誰だろ」

マナがそう言ったところで丁度体育館の扉が開き、4人が帰ってきた。

「ただいまー」

「あ、おかえりー」

もう1度ソラを見ると何も無かったかのように眠っていたので『アリス』が誰なのか、その時は考えるのを忘れてしまっていた。








―残り 4日―




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