真2日目 妬 | ナノ

2日目 妬


今日の任務はヘラの討伐だ。出撃者はオレとライムとアヤとトモ。
恐らくセメクトかシユウ辺りの乱入があるのではと予想を立てながら全員バラバラに動いていた。

「見つかったか?ライム」
『いや、まだだね。何処から来るのやら』

通信機を利用しながら探しているが未だ誰も遭遇していないようだ。

暫くするとトモから連絡が入った。

『っ…ヘラを発見。戦闘開始しました!!』

切羽詰まった声に慌ててトモがいるであろう所へ向かって走り出す。

「全員トモの所へ集合!」

『了解!!』

指示を出し、角を曲がろうとした時だった。爆発が起こり、土煙が舞う。

「っぶね…」

あと一歩踏み出していたらアウトだっただろう。

「…なんでヘラが2体いるかねぇ…」

目の前にいるのは何処からどうみてもオレらの討伐対象だ。
バックステップでヘラと間合いをとり、神機を構える。

「そんじゃ、いっちょやりますか!」

相手の攻撃をかわしながら懐へ飛び込む。そもそもこいつはブレード系の武器が通りにくい。となると手数で攻めるしかなくなるだろう。

「っらぁ!!」

跳躍し、羽を集中的に狙うが地面に着地した瞬間すぐに距離をとると自分がいた位置をヘラの腕が通った。本当に容赦のないことだ。
すぐにまた距離を詰め今度は拳を狙う。本当なら頭を狙いたいところだがオレの神機は切断系の性能が高いロングブレードなため効果はあまり期待ができない。

「…ほんと、嫌になるよな」

言葉とは裏腹に口角が上がるのを感じる。その上絶体絶命とも言えるこの状況、に興奮すら覚えていた。
その時の俺にあいつらに連絡を入れるという選択すらなかった。



・・*・・*・・



「よしっ終了!」

かなり時間は掛かってしまったが、ヘラ倒した!と3人で喜ぶ中、一人足りないことに気付き、周りを見渡す。

「ソラ…まだ来ないね」

アヤの言葉に血の気が引き思わず悲鳴のような声が上がった。

「っまさか…」

顔を見合わせ、リオウ達、体育館にいるメンバーと連絡を取る。発信機も付いているので、おそらく彼女の場所がわかるだろう。
すぐにどこにいるか返答があり、全速力で彼女の居る場所へと走り出した。









「ふふっ…あははっ」

そこは血の海だった。
その中心でアラガミと思わしき肉塊を神機で切り刻んでいる人間。
ソラだ。

あまりの光景に気分が悪くなると同時に、酷い後悔が押し寄せる。

何故気付けなかったんだ。
何十回と同じ世界を廻り、仲間の死を見て、普通の精神でいられるはずがないじゃないか。

「っソラ!!」

名前を呼ぶと動きを止め、ゆっくりと此方を振り返った。銀色の髪は血で真っ赤に染まっていて目の焦点は合っていない。

「……ごめん」

それは一体何に対する謝罪だったのか。
それだけ呟いたソラはまるで糸が切れたかのように気を失い倒れた。





ー残り 5日ー




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