真1日目 勇 | ナノ

真1日目 勇


目を覚ますともう見慣れてしまった体育館の天井だった。のそりと起き上がれば周りには仲間達。
考えてみたら昨日は年甲斐もなく泣きじゃくってそのまま寝落ちしたのか…。

ん……?

「何時間寝てんだよ…」

時計を見ると恐らく深夜の3時。

よくよく考えてみるとこのゲームが始まってからこんなに熟睡したこと無かったな…。

ふと、思いついた事をするため、音を立てないようにして立ち上がり、ある物を探すことにした。



・・*・・*・・



「んにゃー」

トモの声が聞こえたので振り返ると次々と皆が起きて来た。

「あれ?そーちゃんもう起きてたの?」
「流石にあんだけ寝ればな」

マナに苦笑いを返し、朝食を作るために動き出した。






食器を片付け終えるとスクリーンに文字が映し出された。

『スサノオを討伐せよ。出撃者は薄紅、川崎、安孫、山城』

「スサノオって」
「“神機使い殺し”」

一斉にオレに視線が集まった。

「戦闘パターンは教える。作戦立てるぞ」
「おう!!」



・・*・・*・・



「早速お出ましだ」

校庭に出て校舎の方を見ると屋上に討伐対象を見つけた。

「いける?リオウ」
「もちろん」

神機を構え、飛距離の長いバレットを放つ。するとスサノオに命中。屋上からおりてきた。

というか、何故そんなところに上ったし。

「さっさと終わらせるよ!」

私の声でみんなが一斉にそれぞれの役割をこなし始めた。



ソラに教えてもらった行動パターンをもとに回避や防御を行い、攻撃後の隙で一気に叩く。
そんなことを繰り返していると

「部位破壊したよー」

マナナイス!

「捕食」
「捕食します」

ムシャムシャと神機にスサノオを捕食させ、バースト状態になった川崎とマナ。
マナはまだ2度目のはずだが体が覚えているのだろうか?かなり手馴れている。

「ラストスパートかけるで!!」

アビがそう声を掛けた時だった。

『聞こえるか―、お前ら』
「っソラ!?」

出撃前にソラから渡されていた通信機からソラの声が聞こえた。

「そーちゃん、どうしたの?」

マナが質問するとすぐに返事があった。

『そっちにもう一体サソリさん(ボルグ・カムラン)行ったから』
「は?」
「なんや、乱入制度でも追加されたんか」

『感応種でないだけありがたく思え。
お前らの実力があれば勝てる。……必ず帰ってこい』

スサノオの攻撃をかわしながらも思わず顔がにやけた。
それは周りも同じようでアビに至っては顔が赤い。

「なーに?アビ照れてるのー?」

マナがあくどい顔でアビを冷かしている。まあ今までツンしかなかったソラさんがデレたんだ。嬉しいに決まっているだろう。

「さあ、うちのリーダーからの指令、完遂するよ!」
「おう!!!」





それから10分近く経過した。周りにはスサノオとボルグ・カムランの残骸と血。

「…ほんまに勝ってしまったな……」
「全員無事、だな」
「そんじゃ、帰りましょうか」
「心配性なリーダーもいるしね」










あー、なんてっこたい。貧乏ゆすりが止まらないよ。早く帰ってこい馬鹿。

いくら今朝目が覚めた後探し出した通信機を持たせたからといって安心できるわけがないだろう。

過保護?過保護で結構。


「…そーちゃん、大丈夫かな?」
「久しぶりにあんなに落ち着きのないソラ見たよ」
「同意」

上からアヤ、ライム、ユイちゃんである。
とは言っても落ち着きの無くしたオレに3人の会話は聞こえていませんでした。



体育館の扉が開いた。


ばっ、と顔を上げると人影は4人分。



「ただいまー」
「おかえりー!!マジで全員帰ってきたよそーちゃん!!」
「お…おう」
「ソラがデレたおかげだね」
「どういうことだ、それ」

思わず顔が歪んだのは仕方がないだろう。

何でだろうな。半信半疑だったけどこいつらなら、本当に全員生きて帰れる気がしてきた。


「もう少し…か……」
「ソラ?」
「何でもねえよ。うっし、全員帰還祝いで昼飯ちょっと豪華にするか」

リオウの髪をくしゃっと撫で、皆に声を掛けるといい反応が返ってきた。














お前らは、絶対に帰すから。


―残り 6日―

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