ぼくらが巡る季節

バレンタイン

「もうすぐ、バレンタインだね」
「むしろ当日だけどな」
「そんなユキくんにプレゼントだよ」
 味見はしてあるから安心して食べてくれていいよ。と笑うアラシに、ユキは淡々と答える。
「そうそうチョコ溶かして固めるだけを失敗する奴もいないと思うけどな」
 確かに、と言いつつもその口ぶりは不満そうなアラシ。
「バレンタインの前だって、ユキが買いに行けないとかいうから、チロル供えてたの私なんだからね」
 そこらへんも考えるように、と大げさにいい二人は笑う。
「ワカちゃんのチョコ楽しみだな」
「今はあいつの時間だからなー」
 あ、普通にうまい。とアラシのチョコを評するユキ。でしょー、とアラシの方も満足そうだった。
 てか、本当にバレンタインはあり得ない。あの目線がうざすぎて買いたくても買いに行けないとかほんとに嫌になる。とため息をつくユキ。
「しょうがないって、日本じゃこう広まっちゃったんだからさ」
「他の国だったら問題なかったのに」
「どっちにしろ、ユキは今日いっぱいもらえるでしょ?」
 イケメンはつらいね、とにやにやしながらからかうアラシ。俺は今日じゃなくてその前に食べたいんだっての。と違う方向に返事をするユキ。
「否定しないところがムカつく」
「ほんとの事だろうが」
 ま、そうなんだけどね。と視線をそらすと、ドアを開けて入ってくる二人に声をかける。
「おはよー、ハッピーバレンタイン」
 四人はおはよう、と互いに挨拶を交わし、少女たちはチョコを渡し合う。
「ワカちゃんお疲れ気味?」
「あ、うん。ちょい頑張りすぎたかも」
 インフルはやってるからねー、気を付けないと。とアカネは気遣うような言葉をかける。
「無理はしないことだな」
「てか、ユキにお客さんっぽいけど?」
 まじか、行ってくる。とドアの方へ向かうユキに手をひらひらと振った後、ワカバのチョコをじっと見つめるアラシ。
「食べればいいじゃん」
「食べたら終わっちゃうじゃん!」
 何を当たり前のことを、とあきれたような溜息を吐くワカバ。
「いつもの通り、ワカバの家にまだ残っていると思うよー」
 アカネのその言葉の真偽を確かめるように、ワカバの方を見る。首が縦に揺れるのを見て安心したように袋を開ける。そして、口に含む。
「やっぱ、ワカちゃんのって本当においしいよね!」
「当たり前、どれだけ頑張ってると思ってるのやら」
 そうこぼすワカバに、計算はできないけど、おいしいということは確かだよ。と笑うアラシに、三人は笑う。
 この後にユキが戻ってきて、先に食べたことについて口論があったりするのだけど、それは別の話。

2014/2/13


リア充爆破(ry


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