ぼくらが巡る季節

積雪

 ピンポーン、と間の抜けたチャイムが鳴る、この休みに呼び出すとは誰だろう、しかも今日は寒いっていうのに。私は適当に玄関にあったサンダルを履いてドアを開ける。
 そこには白い世界が広がっていた。
「うわあ、雪だあ!」
「おはよー、アーちゃん」
「あーちゃん、おはー」
 呼び鈴を鳴らしたのはあーちゃん――アカネだったらしい。というか、驚いた拍子にサンダルが片方脱げたことに気づくと二人で笑い出した。
「てか、雪がガッツリかかってるんだけど」
「長靴かなんかに履き替えてきなよー」
 それで、雪だるま作ろう! という提案にわたしは一も二もなくのった。さっそく靴をあーちゃんに取ってきてもらって、履き替える。この間けんけんで移動したわけだけど。
 楽しかったよ、中々平野の方で雪が降るって珍しいものだからさ。年甲斐もなくはしゃいだよね。と言っても高校生だけどさ。
「よーし、完成ー!」
 中々いいものが出来たんじゃないかな。因みに、ユキとワカちゃんは呼んでも来ないことが分かりきっているので呼ばなかっただけ。
「写メろう」
 そして、温まるためにワカちゃんの家に突撃ー。ワカちゃんの家が一番都合がいいんだよ。何を、とか野暮なことは聞かないでね。
「ワカちゃーん、おじゃまするよー」
「おじゃましますー」
「いらっしゃい」
 適当に座ってて、飲みもん持ってくる、とワカちゃんは台所に向かう。私達は手を洗った後にリビングの方に向かう。
「ワカちゃん雪だよ雪!」
「外見たから知ってるっての。あんたはイヌか!」
 そうつっこみを入れつつ渡してくるカップをありがたく受け取る。
「私が犬ならワカバたちは猫ー?」
「そうかもね」
 だいぶ返事がおざなりじゃありませんか。
「この時間に何か見るものでもあったの?」
 そう聞くと、よくぞ聞いてくれました、的な顔をこちらに向けるワカちゃん。ワカちゃんも私と違うタイプのオタクだからねー。
 話を聞く所によると、チェックしようとしていた番組がこの時間からやるのだとか。録画してあるだろうけど、リアルタイムで見るのはまた別なんだとか。
 ニュアンスは分かるよ、ニュアンスは。
 それじゃあ、邪魔しちゃ悪いし帰ろうかなー、って雪だるまの写真見せるの忘れるところだった。
「ワカちゃんコレ見て」
 といったものの、こっちに目線を向ける気はない様子。後でメールで送ればいいや。
 それじゃあ、と私は家に帰った。ちなみにあーちゃんはまだワカちゃんの家で温まりたいということだから、おいて行った。

 後で、雪の中にサンダル落としたことを言ったら思いっきりユキに爆笑された。外に出た時に雪玉ぶつけてやった。

2014/2/8


 サンダル脱げたのは実話。



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