ぼくらが巡る季節

節分

 教室で話をしているふたりの少女たち。
「ワカちゃん、今日は節分だよ!」
「アタシんちでやるんかい」
 もっちろん、と高らかにいう少女――アラシにいつものことだから準備はしてあると答えるもう一人――ワカバ。そんな話をしていると、少年がやって来る。
「おはよー二人とも」
「おはよう、あーちゃん」
「おはよう、アカネ」
 今日は節分だよ、という言葉にそうだったっけと返すアカネ。その天然加減に少女たちは笑い出す。
「それじゃあ、恵方巻きの材料買わないとだねー」
「もはや、巻き寿司にしてしまえばいいと思ってる人がここに」
「同意」
「テキトーすぎんだろ、お前ら」
 と、会話に低い声が混ざる。三人はそちらを振り返り、めいめいに彼――ユキに挨拶をする。
「だって、美味しいほうがいいじゃん」
それとも、ユキくんがみんなの分まで作るっていうんですかあ、と冗談交じりにいうアラシ。ユキは冗談じゃない、と反論することもできずに、曖昧に言葉を濁すだけだった。
「でも、久しぶりだよねー、みんなでご飯食べるのって」
「この頃はそれなりに忙しかったからね」
 雑談などは、学校でしているので事足りるが、小さい頃から四人は親同士を含めた交流がある。いわゆる幼なじみだ。
「豆まきの豆買い忘れないようにしないとな」
 あーそういえば、と思い出したように呟くワカバにワカちゃんてばそういうとこ抜けてるよね、と笑うアラシ。お前も忘れてただろうに、とユキからどつかれてもユキが覚えてるから問題ない、と論点をずらそうとする。
「早く、放課後にならないかな」
「まだ、始まってもいないよー」
 楽しげに笑う四人の声を追いかけるようにチャイムが鳴る。慌ててそれぞれの座席へとつく彼らだった。

2014/2/3


 誰かの家で夜ご飯とか中々出来ないことですよね。


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