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五枚の花弁が実る春
Rest.空を見上げて、手を伸ばせ。

 桜は咲いていない。暖かな陽気とは程遠い空の下、久々に学校に訪れた。教室でクラスメイト達と会うのは何週間ぶりだろう。話していることはいつもと変わらなすぎて、逆に笑えてくる。
 今日でこうやってみんなで会うのが最後だなんて実感がわかない。学生としては、ってだけで同窓会ではあうだろうけどね。
 先生は桜を意識した袴を身につけていた。すごく可愛い。先生の中で紅一点だから目立つだろうな。男の先生はみんなスーツだからね。
 並ぶまで後一時間もあったから、撮影をしようと先生のデジカメを借りて集合写真。
 そして並んだものの、一番最後の入場だから、おしゃべりして時間をつぶす。なんて緊張感がないんだろう。
 吹奏楽の演奏を聞きながら入場。たくさんの人がいて、緊張する。
 卒業証書の授与の時間は中学よりかなり短くなったから、眠くなんてならなかった。
 ただ来賓の皆さんの話はちょっと退屈ではあったけど、なんてすごく失礼だな。
 卒業生代表のあの子の言葉はちゃんと覚えているよ。お父さん、お母さんっていう言葉がまるで結婚式みたいだったなあ、なんて。でも、感動したのは本当だよ。ちょっと涙が出てきちゃったもん。
 そんな風に終わっちゃったわけだけども、本当に終わってしまったんだね。私達の高校生活が。楽しいことだけだったなんて思わないけれど、でも思い出すのは楽しい思い出だけ。
 この思い出を胸にしまって、次の世界への一歩を踏みだそう。
 周りには大切な人たちが居てくれるんだから。
 青い空はどこまでも澄み渡って、みんなをつなげてくれるんだ、
2014/3/4



 離れても絆は消えやしないんだ。



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