幸せへの壁 前編



またまたみつ☆なつさまから頂きました
堂郁で同窓会という雑なリクエストに
素敵作品を書いていただきました(*ノ▽ノ)
ありがとうございますっ


「そういえば、堂上。今日の同窓会行く?」
小牧が話しかけていたには昼休み。堂上は郁との外泊デートが入っており、行く気はさらさらない。
「いや、行く気はない。」
「でも、次席だよ。俺も行くから行こうよ。」
「別に首席のお前だけがいけばいいだろ。」
そうこうしていると、郁と手塚がコーヒーを入れて戻ってきた。郁が堂上と小牧にコーヒーを配り、席に着くと話に入ってきた。
「教官たち、何話してたんですか?」
「今日、図書大10期生の同窓会があるんだけど、堂上がいかないって。」
「教官!行ってください。私なら大丈夫ですから。私とならいつでも会えますけど、図書大の方たちは今日しか会えないんですよ!!」
お前が大丈夫でも俺は大丈夫じゃないんだよ、と内心思ったが、郁の勢いに負け、結局行くことになってしまった。しかも郁とのデートもつぶれた上に、本人から勧められ、多少へこんだ。


集合時間の15分前に所定のところ行くと、もうかなりの人が集まっていた。その居酒屋は全席個室で3つの部屋のふすまを開け、3部屋を約60人で使う。ふすまを開け中に入ると「堂上―お前もついに結婚か―。」だの「お前彼女出来たんだってな―。」だの既婚者や独身など様々な奴らからヤジが飛ぶ。それを軽くいなし、小牧の隣に座ると元カノと目があった。すると、ふすまの隅に連れていかれた。
「篤。私あなたを失ってから思ったんだけど、私の中であなたの存在が大きくなっていたの。だから、よりを戻さない?」
彼女の名前は城本 美由。身長は155cm。顔も柴崎には及ばないがそこそこの美人だ。そのため少し自信家である。身長は低く、顔がいいとはいえ、堂上の中で郁に勝る女はいない。というよりその他の女に興味はない。
「俺には郁がいる。だから、他の女はいらない。」
当然のように言うと、彼女は自分を郁と比べてどうなのかを語り始めた。適当に聞き流していると、彼女は怪しい笑みを浮かべ、恐ろしいことを言った。
「篤が動いてくれなければ、笠原三正に手を出して別れさせるまでよ。」
堂上の優秀な頭脳を持っても一秒思考がついていかなかった。一秒で理解したのは郁に危害を加えるつもりで、最悪、物理的にも圧力をかけてくるかもしれないということ。ならば…自分を犠牲にした方が良い!!
「良いだろう。だが、絶対に郁には手を出すな。」
「ありがとう。篤。約束するわ。だから、今から私の彼氏よ。」
「……」



柴崎に連れられ、郁は個室の居酒屋に来ていた。堂上とのデートがつぶれ、へこむ郁をなだめ堂上たちの同窓会が終わったら、郁を預けるつもりでいる。隣の部屋でやっているのは知っている。
「笠原。実は隣の部屋に教官たち居るのよ。」
「え!そうなの?ってかなんで知ってるのよ。相変わらず、すごい情報網…」
「ありがとう。で、これ。」
柴崎が取り出したのは盗聴器の受信側だ。
「え!!そんなのどこで!?」
「え?普通に。それより、堂上教官の服に付けていたから、聞く?」
「え、そんなのだめだよ。」
「浮気調査だと思えば。」
「うっ。浮気なんて…。篤さんがそんなこと…。」
「ごめんなさいね〜。純粋乙女にはショックが大きかったわね。」
「純粋乙女じゃないし!!だって、もう(///▽///)」
「もう、ヤったから?」
「そんなこと言うな!!(///▽///)」
真っ赤になる郁がかわいくてつい、いじりたくなるのだが、そろそろ本題に戻さねば。
「で、聞くの?聞かないの?」
「聞きたいけど…」
もったいぶるのでイヤホンを耳に突っ込んでやると、目を輝かせた。聞きたいことなんて丸わかりよ。
イヤホンの向こうで堂上が席に着いたらしい。すると、女の声が聞こえてきた。
“「篤。よりを戻さない?」
 「俺には郁がいる。だから、他の女はいらない。」”
堂上がキッパリ断ったところで郁は嬉しそうにしている。
“「あたしの方がお似合いだわ。笠原さんより。あなたより背も低いし、凹凸あるもの。」”
女の方が答えた瞬間、郁は立ち上がってトイレに行ってくる、と行ってしまった。その後の取引を聞き、柴崎はあきれた。
…城本二正への調べが必要ね…



郁が戻ってくると柴崎が何か考え込んでいた女の人の猛アピールを聞いて飛び出してしまったが、堂上を疑うようなことはしたくない。篤さんは絶対に断ってくれる!!と左の薬指にはまっている指輪を見て、気持ちを落ち着けた。
その後はつまみを食べながら、ノンアルコールのものを飲み、バカ話をした。
門限の30分前になったので、個室を出て会計を済ますと堂上たちの集団に会った。なんと、女の人と手をつないでいる。
え!?うそ。ドウナッテルノ?
郁は思考が追い付かぬまま、走り出した。
やっぱりあたしみたいな戦闘職種の大女なんか好きじゃなかったんだ。あたしが告白して、かわいそうだし、部下だから変な空気作りたくなかっただけなんだ。じゃあ、なんで指輪なんて渡したの?好きじゃないのに結婚するの?
涙を流しながら走り、電車に乗る気力もなく基地まで走り続けた。さっさと302号室に飛び込みベッドにダイブする。ベッドの中で泣き続けていると柴崎が帰ってきた。しかし、郁のことを気遣い、風呂に行ってくれた。そうしているうちに眠くなり、郁は眠りに落ちた。



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