アザレア




その日柴崎は図書館の植物図鑑のコーナーにいた。
理由は花言葉を調べるため
子供たちと植物で遊ぶという郁の企画が通り業務部で準備することになったのだ。
図書館に咲いてるやつの方が分かりやすいわよね、何て考えながら適当にパラパラめくる。
と、柴崎の手が止まった。
そこに写っていたのはピンクの小さな花
花言葉を見た瞬間思わず微笑んでしまったことに柴崎は気づかなかった。



「ただいまー」
結局準備が遅くなり家に帰ったのは手塚よりも遅い時間。
さらに今日は寄り道もしている。
「お帰り、遅かったな。ご飯できてる。」
堂上家に習ってうちでも先に帰った方がご飯を作るというルールを取り入れた。
美味しそうな匂い
今日はビーフシチューか
「麻子、何持ってるんだ」
リビングに入った柴崎に手塚は問いかけた
「花束…か?珍しいな」
そりゃそうよね、私らしくないってわかってるもの
柴崎が手にもっていたのはアザレアの花束
寄り道をしたのは花屋に寄っていたからだった。
「気分よー」
そう軽く返した。
後ろで手塚が「気分って…」と言っていたが無視
アザレアを花瓶に生けてテーブルにおいた。
ビーフシチューとアザレアが並ぶ。
「光、ありがとね」
私らしくないついでにそう言っておいた
「ん。てかご飯は先に帰った方が作るってルールだろ?別にお礼言わなくていい」
…そういう意味じゃないわよ、この朴念仁
その言葉はビーフシチューと共に飲み込んだ。




アザレアの花言葉『貴方に愛されて幸せ』

prev next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -