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咲希が眠ってしまい、山本と獄寺は部屋に戻っていった。
リボーンとツナは、まだ残っている。
「ツナ・・・・殺すぞ」
「でも、まだこんな子供・・・」
「関係ねぇ。こいつは危険だ。それに、こっちの世界にいるなら早いか遅いかのだ」
「これから教えていけば・・・もしかしたら・・・」
ツナは、自分の腕の中でぐっすり眠っている少女を見た。
確かに咲希は人を殺した。
でも、その意味を知らなかった。
知らないで済む問題ではないけれど、それでも酷すぎる。
だって、咲希はなにも知らない。ずっと一人で・・・
「・・・甘ぇな。いつ敵に回るかわかんねーやつをボンゴレに置いとけるわけがぇ」
「・・・・・・へぇ。最強のヒットマンさんはたった10歳の少女の寝込みを襲うだ」
「あ゛?」
「あーそー」
「ツナ・・・・てめぇ、喧嘩売ってんのか?」
カチャリ
リボーンの銃が咲希からツナに向けられた。
いつものツナならびびって怯むのだが、今日はまっすぐリボーンを見据えている。
その目は・・・・自分達が憧れた・・・仲間を守る覚悟の目。
ツナは自然と、咲希を抱く腕が強めた。
そのとき、
「ふわぁ〜」
大きなあくびをしながら咲希が目を覚ました。
とろんとした目でリボーンとツナを見た後、コテンと首を傾げてにっこり笑う。
「おはよう?」
「あ・・・あぁ」
「おはよう」
「ねー、咲希はいつまでここにいればいいの?帰っていいの?」
「そう言えば・・・咲希ってどうやって生活してるの?家は?お金は?食べ物は?」
「ん〜、普通に外で寝てるよ?食べ物は、店にあるのを取ったり?」
「っ、そっか・・・。ねぇ・・・咲希さえよければなんだけど・・・一緒に住まない?」
「・・・・いいの!?」
先手必勝。
リボーンが「くそっ」と頭に手を当てているが、気にせずツナは言った。
咲希は驚きのあまり目を見開き、ツナを見つめる。
「うん。ただし、殺しはしないって約束してほしいんだ」
「何で??」
咲希はさっきとは別に意味で、コテンと首をかしげた。
何でといわれても・・・・ 当然、ツナは返答に困る。
悪いことだからといっても咲希には理解できないだろうし、どうして悪いのかと聞かれれば今度こそ答えられない。
ツナは少し考え込み
「悲しむ人がいるから・・・・?」
「悲しい?」
「うん。楽しいとか嬉しいとは逆でその人がいなくなるのが嫌っていう人がいるからよ」
「ふぅん」
「分かった?」
「ん〜・・・分かったー」
咲希はそういってにっこり笑ったが、たぶん理解はしていないだろう。
「住む」ということに興味があるから、初めて自分達に接してくる人間に興味がある。
それだけの理由で我慢する。だから、飽きればまた遊び始める。
その前に・・・・教えなきゃいけない。
ツナが堅い決意を目に宿らせ咲希を見ていると
ぐぎゅるるるぅぅぅ
可愛くお腹がなる音が聞こえた。
「お腹空いたー。ご飯取りにいかなきゃ〜」
「えっ、い、いいよ!ここで食べてって!」
「本当!?わーいヾ(o・ω・)ノ」
「・・・咲希、住むの意味分かってる?」
「んーと、ここにいるってことでしょ?」
「(あ、分かってた)うん。だから、ご飯も毎日ここで食べてっていいんだよ?」
「きゃぉ♪」
「じゃぁ、咲希の部屋に案内するね」
「お部屋!?」
咲希は目を輝かせた。
ツナの中から出て、嬉しそうにはしゃぐ姿は本当に子供。
いや、10歳にしては子供っぽすぎるか?
ちゃんちゃんとあっさり咲希がここに住むことを決めてしまい、少し呆然としていたリボーンだったが慌てて聞いた。
「ツナ!本気か!?
「うん」
「使用人にはどういう気だ」
「犯人が咲希だっていってないよね?咲希は拾ってきたってことにして」
「守護者が賛成すると思ってるのか?」
「うっ・・・ど、どうにかする!」
「早くー!!」
「うん!」
咲希に呼ばれて、ツナは慌てて走った。
後ろからリボーンの溜息が聞こえたけど気にしない。
だってもったいないじゃん。
こんなに綺麗な心持ってるのに殺しちゃうなん
教えて上げればきっと・・・分かってくれるから
闇に染まっていたから
その少女が光って見えた
こうして、
奇妙な少女とマフィア達の同棲生活は始まった。
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