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「10代目!!おかえりなさ・・・・誰ですか、そいつ」
戻ると、予想通り獄寺は顔をしかめた。
やっと帰ってきたツナの腕には血に塗れ寝ている少女がいるのだ。
不審に思わないはずがない。
ツナは、苦笑しながらソファに少女をおろした。
「分からないんだ。庭で・・・・・・使用人を殺してて」
「!! 10代目を暗殺にきたんじゃ!!」
「どうだろう・・・。でも、そういった感じの子でもないんだよね・・・」
ツナは改めて眠っている少女を見る。
普通の子供と変わらない外面。
目の前でその様子を見ていなかったら信じられないくらいだ。
いや、その現場を見てしまった今でも・・・信じられない。
それでも、血の匂いが・・・現実だと語っている。
「おっす。ツナ。帰ってたのか」
「うん。ただいま〜」
「お帰り♪ん?その子は・・・ツナ・・・ロリコンに目覚めたのか?」
「な!?違うから!!」
「変なこといってんじゃねぇ!!10代目がんなのに目覚めるわけねぇだろ!!」
「冗談だって。 でも、本当に何したんだ?血まみれだしよ」
「・・・使用人・・・殺しててさ・・・」
ツナの言葉が山本から笑みは消した。
山本は信じられないといった表情でもう一度少女を見つめる。
そこへタイミングよくなのか悪くなのか・・・リボーンが入ってきた。
少し前から使用人の1人が消えた、と。
リボーンの言葉で少女が殺したのが使用人だったと明らかになった。
しばらく、誰もが不安に満ちた目で少女を見ていた。
もぞっ
すると、不意に体が動き
「ふわぁ〜」
少女は目を覚ました。
「んにゃ?」
「起きたのか・・・・」
「どう?気分は」
「首が痛い・・・」
「ぁ、ごめんね。えと・・・名前、教えてくれる?」
「咲希は咲希だよ」
少女、咲希はにこっと笑ってツナを見た。
子供特有の純粋な笑み・・・
リボーン・山本・獄寺が後ろで見守る中、ツナは話を続けた。
「なんで・・・あんなことしてたの?」
「あんなこと?」
「人を・・・殺してたよね?誰かに頼まれたの?」
「何で?? んー・・・楽しいから!」
「・・・え?
今、目の前の少女はなんていった?
た し か
の い ら?
こんな子供が?
「泣き叫ぶのって見てて面白いし、動かなくなった後ぐちゃぐちゃにしたり!殺すって楽しい♪」
「っ。命を奪うことなんだよ!?
「いのち??なーにそれ?楽しいの?おいしいの?面白いの??」
咲希は首を傾げた後、きらきら目を輝かせてツナを見た。
聞いたこともない言葉だったから興味を引かれるのは当然だろう。
だから、どうして目の前の人物が悲しそうなのか・・・どうして後ろの3人が怖い顔でらんでいるのか。
すぐ、気にならなくなった。
「・・・咲希は、両親・・・いる?」
「りょーしん??」
「咲希を生んで、育ててくれた人」
「んー、生むって?育てるって??
「じゃぁ。小さい頃からずっと一緒にいた人」
「ぁ!その人は・・・殺しちゃった」
「えっ・・・?」
「殺すっていうのもその人に教えてもらったんだけど〜。咲希、痛いのが嫌になてきたから〜」
「痛い・・・?」
「うん。なんか・・・よくわかんないけど・・。体がびびびっってなったり。変な薬飲されたり。水の中に入れられたり。嫌になっちゃった!」
咲希の話を聞く限りでは、たぶん・・・実験体か何かにされていたのだろう。
こんな幼い子供が・・・・
それなら納得できる。
殺すの意味も 命も 全部・・・この子は教わらなかったから。
何も知らない。
だからこそ、少女は血に塗れても純粋。
純粋な・・・悪?
自然と、涙が溢れてきた。
「あれ??咲希、何もしてないのに出てる。変なの〜。今まで殺した人も出してけど・・・あったかいんだね」
「涙っていうんだよ。」
咲希は、そっと涙に触れた。
それは、今までなら大して気にならなかったのに・・・そのときは惹かれた。
ツナは、キョトンとしている咲希を抱きしめた。
咲希はビクッと体を震わせたが、しばらくして敵意がないことが分かったのか体から力を抜いた。
だんだん目がトロンとなってきて・・・・
「あったかい・・・・」
そう呟き、また・・・眠りについた。
何も知らない少女・・
だって・・・誰も教えてなんてくれなかった
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