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「ゆーえんちー、ゆーえんちー」




窓から身を乗り出して風を浴びながら歌う咲希に一同、思わず笑みが毀れる。随分と懐かしい子供らしい可愛らしい行動だ。

獄寺が運転し助手席には山本。後ろには骸とクロームと咲希とツナが乗っている。雲雀も咲希が一応誘っては見たのだがものの見事に却下されてしまった。

数分睨み合いを続けた結果咲希が折れ、もういい!と拗ねて出てきてしまったのだ。

今の咲希はそんな喧嘩?なんて過去のことはすっかり忘れ外の景色に見入っている。




「ねー、ツナー。ゆーえんちに何時までいるのー?」

「何時まででもいいよ。咲希がいたいだけ」

「じゃあっ、ゆーえんちにはどんなものがあるの?」

「んー、ジェットコースターって言って・・・その、乗り物?高いところから下で降りるやつとか・・・」

「あー、でもあーいうのって身長制限あるよな?そういやあ咲希ってどんくらいなんだ?」

「あー、測ったことないね。見た目的に言えば少し小さいような気もするけど・・・」

「ちっちゃくないもん!!」




むっ、と咲希は顔をしかめてツナを睨みつける。さっきまでのご機嫌だった様子は一気に消え去り、不機嫌そうにそっぽを向いてしまった。

ツナは慌てて機嫌を取ろうとするけれど、咲希は聞く耳持たずだ。子供の機嫌は秋空のように変わりやすい。

そうこうしているうちに車は遊園地の駐車場に止まった。平日というだけあって普通よりは空いているものの車も人もすごい数だ。

ここに雲雀を連れて来ようものなら、着いた瞬間切れられ大暴れされることが容易に想像できる。




「わー!人いっぱあい!そんなに楽しいところなの?」

「うん。大抵の人は好きだと思うよ?遊園地。じゃあ、行こうか?」

「うん!」




ツナは自然に咲希に手を差し伸べ##_name1##はそれを受け取る。その後ろと獄寺、山本、骸、クロームが歩く。咲希がいなければ揃わない異様な面子である。

さて、入場券と1日フリーパスを買ったはいいものの・・・何から乗ろうか。パンフレットを咲希に1枚渡しツナはアトラクション一通りに目をやる。咲希はきらきらした目でパンフレットを見ているが、何が何なのかまったく分かっていないだろうからどれに乗りたいのか聞いても無駄だろう。




「まずは・・・無難にジェットコースターからじゃないっスか?」

「だよな〜。遊園地にきたらまずそれだろ!」

「う、うん・・・」

「10代目?」

「ツナ?・・・なんか顔色悪いぜ?」

「そ、そう?気のせいだよ!あはは・・・」




ツナはそう言いながら苦笑いをするが、その笑みは引き攣っていた。何を隠そうツナはジェットコースターが大の苦手である。と言っても小学生のころ乗って泣いたっきり乗ったことはないので、今も苦手かは分からないが。

まさか、ジェットコースター!いこいこ!とぴょんぴょん飛び跳ねている咲希にそんなことが言えるはずがない。ツナはお腹を押さえながら、とりあえず、パンフレットにある子供用にジェットコースターに向かった。

・・・ちなみに、ここには絶叫マシーンがもちろんいくつもあって。咲希がジェットコースターで味を占めないことを祈るのみである。




「おー。これがジェットコースター??」

「うん。・・・さすがにこれに大人何人で乗るわけにも行かないから・・・」




ツナは後ろを振り向きメンバーを一通り見てからにっこりと笑った。




「骸、いってらっしゃい」

「は?」

「早く行こー?」

「ちょ、待ちなさい。引っ張るな!どうして僕なんですか!」

「どうして、って。適任じゃない?」

「むーくーろー!」

「ちょっ、あああもう!分かりましたよ!」




納得はいかないものの咲希にぐいぐい引っ張られては反論も出来ず。骸は仏頂面でジェットコースターに乗り込んだ。その睨みに指導員さんを怯えさせてしまったくらいだ。

子供用なので大人が乗るには少し小さな席。しかも骸は平均一般男子よりは身長が高くすらりとしているため窮屈そうだ。これはどう考えてもツナが適任だろうと心の中で毒づく。




「それではシートベルトをしっかりとお付けください。指導員が確認に参ります」

「シートベルト?咲希、暴れないでください」

「楽しいみー!」




希望に胸を躍らせいてもたってもいられないようで咲希は今すぐにでも飛んでいけそうなほど気持ちが高揚していた。指導員が全員のシートベルト着用を確認し、いよいよジェットコースターは走り出す。

ゆっくりと少しずつ上っていき、一気に落ちて行く。そのスピードの速さと急激さに咲希は思わず歓声を上げた。

隣で骸が いたっ、クハ! などと悲鳴をあげていることには気づいていないようだ。

ジェットコースターはあっという間に2周してしまいジェットコースターが止まったことに目をぱちくりさせている。




「・・・もう終わり?」

「・・・そのようですね」




楽しかったのだが、時間が短すぎて物足りないのか咲希は不満そうな顔で席についたままだ。一方の骸はジェットコースターが急に止まったり際どい曲がりをするので、体の至るところを機械にぶつけてしまい。早く降りたくてしょうがなかった。




「咲希、降りますよ」

「えー。もう一回!」

「また今度にしましょう。他にもアトラクションはたくさんあるんですから」

「やー!もう一回!」

「僕は嫌ですよ!もっとすごいジェットコースターもあるはずですから」

「え!?」




とたんに咲希は目を輝かせ、あっさりとジェットコースターから降りた。軽くスキップをしながらツナたちのところへ戻り、一目散にツナの元へ駆け寄る。




「ツナツナ!ジェットコースター楽しかった!もっとすごいの乗りたい!」

「あー・・・、うん」

「行こ!?」




ツナの手をぐいぐい引っ張り、どこにあるかも分からないのに走ろうとする咲希。勝手にどこかにいかれては困るのでツナは咲希を抱き上げた。




「そんな焦らなくても時間はたっぷりあるからね」




そういいながらツナはパンフレットを見て、次のアトラクションを考えていた。


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