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「・・・・・・・・・わかんなーい!!覚えられるわけないじゃん!!」

ツ「いやいや!!俺だって覚えられるからできるよ!!」

「うん・・・。えっと・・それがいすで、これがテーブル?」

ツ「それはベッドで、これは床だからー!!

「えぇー!?!?」



ここは咲希の部屋。

つい先日恭弥と買い物に行ったおかげで、生活に必要な家具はそろっていた。

今日は、珍しく仕事がないツナと一緒にお勉強・・・なのだが・・



「もーいいじゃん。こんなの覚えなくたって生きてけるもん〜、生きてきたもんー。」

ツ「必要だから!!これから絶対困るよ!!?」

「必要ない!!」

ツ「はぁー。まぁ、こういうのは生活しているうちに普通に覚えるよね。(てか、覚て!!)」

「まだあるの〜?」

ツ「これからが本当の勉強。」



ドサッ


机の上に、何十冊の本が置かれた。

国語やら数学やら、咲希の知らない単語ばかりだ。



「なぁに、これ。」

ツ「咲希と同じくらいの子が勉強するもの。

「さっきまでのは?」

ツ「あれは、言いたくないけど常識。育つ過程で身についていくもの。」

「・・・・・えー!!!面倒ー!!やぁー!!」

ツ「ダメ!」

「もう疲れたぁー。」



机にべたーっと体を預け、いやいや反抗する。

さっきから、覚えることがありすぎて大変で、もうこれ以上やりたくないのも分かる。

しかも勉強なんて。

ツナだって大ッ嫌いだ。

だが、小学生1年生レベルの問題くらい・・・教えられるだろう

出来なければ困る。



ツ「簡単だから、ねっ?」

「ツナにも出来る?」

ツ「これくらいなら・・・」

「じゃぁ、やる!!」

ツ(・・・どういう基準!?)

山「ツナー、そろそろ仕事に戻れってさ。」

「ツナいっちゃうの?」



咲希は寂しそうにしゅんっとうつむいた。

そんな寂しそうな顔をされても、ツナだってこれ以上仕事をサボるわけにはいかない。

しょうがないのだ。



ツ「うん。勉強は他の人が教えてくれるからね。」

「誰?」

ツ「えーと・・・今仕事ないのって誰だっけ?」

山「そーだな、骸か?」

ツ「じゃぁ、骸に頼む。」

「むくろ?」



咲希はキョトンと首を傾げた。

最初の挨拶のとき、そんな名前の人物はいなかったような・・・・?



「むくろってだぁれ??」

ツ「ぁ、そっか。咲希がきた日は任務だったっけ。六道骸。幹部の一人だよ。」

「えっと、咲希の世話をしてくれる人だよね?」

ツ「そうそう。」

「むくろかぁ。変な名前ー。」

ツ「・・・それ、骸の前で言っちゃダメだよ?」



苦笑顔で注意するツナに、キョトンと咲希は首を傾げている。



ツ「今から呼んでくるから大人しく待っててね。」

「はーい。」



ツナに返事を返すと、ツナはいってしまった。

数分後、なんだか変な髪形をした人物が部屋に入ってくる。



「・・・むくろ?」

骸「はい。初めまして、咲希。僕は六道骸です。」

「ふぅん、ツナは?」

骸「仕事ですよ。」



骸はにこりと笑って返すが、内心戸惑いがちだった。

いくら女性に関して百戦錬磨でも、このこは10歳程度。



骸「勉強を教えるようにいわれたのですが。」

「う゛。」

骸「まずはひらがなから始めましょうか。」

「ひらがな・・・?」

骸「言葉ですよ。君は何故日本語を話していますから。そのうちイタリア語も覚えましょう。」

「言葉って?」

骸「僕たちが今話しているものです。」

「"あ"とか"い"とか"言葉"とか"日本語"とか"とか"とか全部?」

骸「はい。」

「へぇぇ。」

骸「それを紙などに書いて伝えたりするために"文字"があってそのひとつに"ひらがな"があります。」



骸の話に、咲希は興味津々で頷きながら真剣に聞いていた。

その様子に、骸は少し安堵する。

子供の扱いなど手なれていないから、どういうふうに扱えばいいか不安だったのだ。

それでも、この反応は悪いものではないだろう・・・そう思い話を続ける。



骸「ひらがなは全部で五十音あります。濁点と半濁点は別ですが・・」

「ひらがな覚える!!」

骸「はい。それじゃぁ、この表を見ながら書き取りしてみましょう。」



骸は五十音表を咲希の前に出すと、にこっと笑った。

その笑みに微かに咲希の表情が曇る。

どうかしたのだろうか、と骸が顔を近づけると思いっきりその頬を摘まれた。



骸「っ―――!!?」

「その笑い方嫌ー!」

骸「はい?」

「ツナみたいに笑って!」



愛想笑いするな、と言う意味なのだろう。

これには骸も目をぱちくりさせ戸惑ってしまう。

未だかつて言われたことのない言葉だった。



「むぅ!骸の笑い方きりゃいっ!」

骸「嫌い、でしょう。」

「嫌い!」

骸「分かりましたから、ひらがな 覚えましょう?」

「むぅ。」



咲希は頬を膨らませ、不満そうにしたものの従った。

どの字がどう言う読み方をするのか、どう言う書き方をするのかを一つ一つ覚える。

頭はいいほうらしく、一度みればひらがなもカタカナも漢字さえもかけてしまった。

しかも、字は綺麗。



骸(なかなか・・・すごいですね。)

「こーぉ?」

骸「綺麗ですよ。」

「えへ♪」

ツ「骸ー。どう?」

「ぁ、ツナー!」



ツナの声がしたとたん、咲希は椅子から飛び降り一目散にツナに抱きついた。

ツナは苦笑しながらそれを受け止める。

骸はツナの気配に気付いていたが、咲希には気配が読み取れないようだ。

とはいっても、ツナも自然と気配をある程度消しているため読み取るのは難しい。



ツ「どう?楽しい?」

「うん!ひらがなとカタカナと漢字教えてもらった!」

ツ「そっか。」

骸「結構頭はいいようですよ、君と違って。」

ツ「なぁ煤v

骸「暇人ですね、ボンゴレ。仕事が溜まっているでしょう。あの犬が嘆きますよ。」

ツ「う、煩いな!」

「ボンゴレって??ツナはツナでしょー?」

ツ「ん?ボンゴレっていうのは俺たちの所属しているファミリーでイタリア語で"アサリ貝"って意味なんだ。そこのボスだからボンゴレって骸は呼んでる。」

「イタリア語って?アサリ貝??マフィアー?」

ツ「咲希にはまだ難しいか・・。そのうち覚えられるよ。」



そういったツナの顔に、何か悲しいものがあることに咲希は気付いた。

その表情に胸のおくがギュゥと苦しくなって

呼吸がしづらくなる。



「ツナツナ。」

ツ「ん?」


ちゅっ


ツ「・・・・・・・・・・えぇ!?///

「元気出すの!!」

ツ「げ、元気って//骸!!」

骸「おやおや。いいじゃないですか。イタリアでは割と普通ですよ。」

「元気でない?」



しゅんっと悲しそうに顔を俯いてしまった咲希にツナは慌てて言う。



ツ「そんなことないよ?嬉しい。元気出たから!」

「ほんとー?」

ツ「うん!」

骸「おやおや、ボンゴレ10代目ともあろうものがロリコンですか。」

ツ「煩いよ!骸!!」



咲希は嬉しそうににっこり笑った。

ツナは微かに顔を赤らめており、それを骸が笑う。



「! ちゅっしたら骸も元気出る??」

骸「・・・・・ハイ?」

「ちゃんとツナみたいに笑うの!」

骸「残念ですが、僕はキスではつれませんよ。」

「むぅ。じゃぁ、口にする!」

骸「勘弁してください。」



そう言いつつも、骸は自然と笑っていた。

笑み、というより笑いを堪えているようだ。



「もー。」



不機嫌そうに頬を膨らませる少女に

心が温かくなる。


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