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ツ「おかえりな・・どうしたんですか!?」
それは驚くだろう。
やっと帰ってきたかと思えば、雲雀は縄で縛られたままだし。
咲希は血に濡れている。
困惑顔のツナだが
雲「とりあえず・・・この縄ほどいてくれる?」
ツ「ぁ、はい。」
雲「それから、咲希を風呂に入れたら?」
ツ「そうですね。」
大体、何があったのか想像できたのだろう・・獄寺を呼んで咲希の世話を任せた。
雲雀が風呂に入れろなんていうからには、2人っきりで何か話したいと言うことだ。
それこそ、咲希に聞かれぬように。
ツ「それで・・・何があったんですか?」
雲「どっかのファミリーに拉致された。」
ツ「雲雀さんがですか!?」
雲「ふぅ)言わないでくれる?咲希に目がいってて運転手が入れ替わってることに気付けなかったよ(チッ」
ツ「それで・・・どうやって抜け出して・・」
雲雀は顔をしかめた。
雲雀は、血に濡れた様子はまったくない。どころか、微かに暴行の後が見られるぐらいだ。
そして・・・血まみれだった咲希。
雲「あの子が・・・やったよ。」
ツ「・・・・・」
雲「部下も殺そうとしたけど、綱吉と約束したろって聞いたら止めた。」
ツ「そうですか。」
雲「・・・君は、今やってることが正しいと思うかい?」
雲雀は、微かに哀しそうな顔をしていた。
おもむろにそう言う顔をしていたわけではないが・・・そう、ほんの微かに。
ツナは首を傾げる。
雲「あの子がこれから教養を受ければ・・・次第に自分のしたことの意味が分かってくる。それを受け入れるかな・・・」
ツ「それは・・・」
雲「罪悪感にさいなまれて自殺も考えられなくはない。まぁ、僕と同じで罪悪感なんて感じないのかもしれないけど・・・」
その可能性は低いだろうと
2人とも分かっていた。
咲希は知らないだけで、本当に素直でいい子なのだ。
一緒にいるうちに、いずれ感情を知るだろう。
そうなると・・・「殺す」の意味もおのずと分かる。自分のしてきたことも。すべて。
雲「そうなる前に・・・殺してやったほうがいいんじゃない?」
ツ「雲雀さん!!」
雲「綱吉、僕は今日始めてあの子の殺し方を見たよ。残酷だね、あれは。」
ツ「・・・・・・」
雲「ボスの首を取って、皮を剥ぎ目玉をもぎ取ったんだ。もう一人の男の腹に手を突っ込んで内臓を掴み取ったんだ。
それを後悔しないとは思えないな。」
残酷で残忍な殺し方。
知ってしまえば、自分のやったことに対して何を思うか・・・。
そうなる前に、殺してやるのが「良心」とも言えるのかもしれない。
何も答えない綱吉に痺れを切らして、雲雀は立ち上がった。
雲「決めるのは・・・君だけどね。」
そう言って部屋を出た雲雀。
ため息をつき・・・じっとじゅうたんを見る綱吉。
・・・どちらも、咲希を思ってのことだった。
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