Ottavo
「ん・・・ふわぁ〜。」
朝目が覚めて、夕翡は台所に行く。
すると、奈々が朝食を作っているからそれを手伝い、ツナを起こして・・・
ツナが起きてくる。ここまではいい。
ツ「おはよう。」
「おはよー。」
ツ「・・・・・・あれ?クロームは?」
「まだみたい。今日が争奪戦だから緊張してるのかなぁって。もう少ししたら起こしに行くよ。」
いつもなら朝早く起きて、一緒に朝食作りを手伝っているクロームがいないのだ。
夕翡のいうことももっともだと思って、ツナは何も不思議に思わなかった。
少しすると、いい加減時間的にも遅いので夕翡がクロームの部屋に向かった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
部屋の中にクロームはいなかった。荷物もない。
これは・・・もしや・・
「
家出!!?」
特に書き置きらしきものはなく、もしかしたら買い物に出掛けただけかもしれないけど・・・
「ツナ、クロームいなかった。」
ツ「
えっ!!」
「家出かな、誘拐かな、何かの事件!!?」
ツ「とりあえず警察・・・って・・・俺たちマフィアじゃん!」
「ついにマフィアだって認めた。ていうか、クローム!!ツナ、GPSとかつけてないの!!?」
ツ「
つけるわけないだろ。」
「携帯ないし〜・・・・あ!むっくんに聞いてくる!!」
ツ「は?なんでむく
「全然眠れないー!!」聞けよ、人の話(黒笑」
「クローム・・・・どうしちゃったんだろう・・・・」
夕翡は不安そうに、瞳を歪ませた。
ツナのいったとおり、クロームは女の子だから。自分とは違う・・・傷つきやすい・・・女の子。
*
ク「・・・・・・・・・・・。」
一方クロームは、犬と千種を探すためにあちこちを歩きまわっていた。
昨日、骸から犬と千種が自分を探していると聞き早く見つけなくてはと思ったのだ。
いつまでも夕翡に甘えていられない。
が、全然見つからない。
どこにいるかさえ皆目見当もつかないのだから。
ク「ハァ・・・・・・・・・・。」
途方にくれて、公園のブランコに腰掛けていたとき・・・見つけた。
ク「
犬、千種!」
犬「あ゛?」
千「誰。」
ク「私・・・クローム・・髑髏・・・。骸様に・・言われて。」
骸
その名前が出たとき、犬と千種の顔色が変わった。
ク「一緒に・・・戦う。」
クロームは、じっと2人も瞳を見つめた。
けど、
犬「ふざけんじゃねーじょん!!誰らっつーの!!なんれ骸さんのことしってんらよ!!」
千「犬。黙って、煩い。彼女が・・骸様の言ってた・・もう一人の骸様なのかも・・。」
犬「は?」
ク「コクン)」
犬「い、意味わかんねーびょん!!こんなブス女が骸様の代わりとか!ありえねーびょん!!」
千「犬。」
犬「
俺は認めねーからな!!」
ク「っ!!」
千「犬!」
ク「・・・・・分かった。」
クロームはそれだけ言って、逃げるように走り去った。
「俺は認めねーからな!!」
その言葉が何度も頭の中で繰り返される。
骸様の仲間・・・彼らなら、自分を必要としてくれてるって・・・思ってた。
「要らないのよ、あんな子。」ク「っ。」
涙を流した。
それが悲しみなのかなんなのか分からない。
けれど、涙を流したのは久しぶりだった。
涙を流せば全部楽になるのだから。全部・・・忘れて・・・
ダメ。
まだ、自分を必要としてくれる人は・・・いる?
冷たいけど 暖かいの[ 61/100 ][前へ] [次へ]
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