Thirty-three

ピピピピピピ

朝が来た。

のそのそと起き上がり、ツナは自分の部屋に向かう。



ツ「夕翡・・・・・。」

「スー・・スー・・・・。」



部屋で夕翡は寝ていた。



なんていうか・・・彼氏の看病に来てそのまま眠ってしまった彼女のようで・・・

ツナは顔を歪めた。

また、どす黒い感情が暴れだす。

胸が痛くて・・・もやもやして・・・苦しくて・・・いらいらして・・・


夕翡は雲雀が好きだから・・・心配するのは当然なのに・・・

それが・・・酷く不愉快だ。



ツナはそんな気持ちを何とか押し込め、夕翡を起こそうと体を揺さぶった。




ツ「夕翡。起きて。」

「ふわぁ・・・・ツナ。おはよ・・・・ツナ?」

ツ「何?」

「なんかあった?」




さすが夕翡は鋭い。

ツナのわずかな違い・・感情の変化に気付いたようだ。

ツナはなんでもないと苦笑しながらごまかし、部屋を出て行った。

夕翡は首をかしげながらも、雲雀の様子を見る。


呼吸は昨日よりも荒く辛そうだった。

夕翡はタオルを取り替えて下に降りていった。



「ご飯は〜何に〜しようかな〜。御粥?」

ツ「それは雲雀さんの朝ご飯だろ。俺達のは?」

「もうちょっと、元気につっこみしようよ!朝なんだから!」

ツ「嫌、俺今日ちょっと体調悪いから・・・・・」

「ぇ、風邪うつった?」



心配顔で顔をのぞいてくる夕翡。熱を測ろうと額に手を伸ばす。

何かが一瞬沸きあがって、気付けば夕翡の手をはたいていた。

夕翡は一瞬傷ついた様な顔をしたけど、すぐに涙目になって



「酷い!そんなに私に触られるのが嫌だったんだ!!」

ツ「そ、そうじゃなくて!」

「まぁ、いいや。遅刻する。」



がたっ

さっきの涙はどこへやら、夕翡はけろっとしていてツナは肩がずり下がるのを感じた。

夕翡は鼻歌を歌いながら朝ご飯を作る。



「あ〜、ツナ。私今日学校休むね〜。」

ツ「雲雀さん?」

「そ。2つか目が一番熱上がるし・・・さすがに一人は心配だからね。」

ツ「・・・・分かった。」



また、気分が落ち込んだ。

どうしてこんな気持ちになるのか分からない・・・けど、


雲雀と夕翡が一緒にいると胸がもやもやして

何かがのどまででかかってるのに・・・言えなくて。もどかしくて・・・それが気持ち悪くて・・・


堪えきれなくて、ツナは早めに家を出た。


獄「おはようございます10代目!!っと・・・夕翡はいないんスか?」

ツ「ア〜。昨日雲雀さんがうちで熱出しちゃってさ。夕翡が看病してるんだ。」

獄「あの雲雀が!?!?」

山「夕翡も大変なのな〜。」



ツナは笑ったが、出てきたのは苦笑に似た乾き笑いだけ。

一日中落ち着かなくて、気付けば空ばかり見ていた。

夕翡と雲雀が気になってしょうがない・・・・・ずっと・・・ずっと・・





山「ツナ、今日変じゃねーか?」

獄「何かお悩みですか!?まさか・・・雲雀に風邪うつされたとか!!」

ツ「えっ!別に普通だよ??」

山「そうか?今日一日中ボーッとしてるっつーかそんな感じだったけど。」

「そうなの?」

ツ「そんなことないって・・・え・・?」

「やっはー。」

「「「夕翡!!」」」



夕翡は買い物袋を持って、いつの間にかツナの後ろにいた。

今日の夕飯のおかずを買ったついでに寄ったのだろう。



「今日の朝も変だったよね。熱っぽかったら言うんだよ?」

ツ「うん。大丈夫だよ。」

「そう・・・・・・・・ふぅん。」



夕翡は納得行かないようだったが、それ以上なにもいわなかった。

ツナは夕翡を見ただけでいらいらして・・・顔が引きつったのが分かった。

それでも、感情ばかりはどうしようもなくて・・・・



ツ「そ、そう言えば雲雀さんの様子は?」

「39度。大人しく寝ててくれればいいけど・・・・・」

ツ「けど?」

「絶対脱走しようとする。手錠でもかけとくか。」

獄「それは犯罪だろ!!」

「マフィアが犯罪言うな!!恭君の風邪が治るまでだもん!!って、早く帰らなきゃ!逃げられる!」


夕翡は走って、その場から立ち去った。

(逃げられるって、どんだけ嫌われてるんだよ)そう思ったのは山本と獄寺だけで・・・




ツ「なんでも・・・知ってるよね。」




夕翡が雲雀の一番の理解者で・・・

雲雀のことを分かってるという風な口調が気に入らなかった。


と同時に、そんなことを思ってしまう自分も嫌で・・・

ツナは結局、気分が晴れないまま家に帰ったのだった。

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