ヴェンテージモ

「で、デートって・・・」

「だってさ、2人とも1回もデートしたことないでしょ?」




立ち止まり、ずばり直球に夕翡は2人に聞いた。

少し間が空き・・・




「「そういえば」」

「何でそんな反応!?付き合って何ヶ月!!」

「えーと、・・・・」

「1ヶ月くらい!!それで一回もデートしてないってどうよ!」

「ていうか、何で夕翡が知ってるの・・・」

「2人のことで私が知らないことなんてあると思って?」




にっこり言う夕翡に、何も返す言葉はない。

いやだって・・本気じゃん?あれ。




「折角イタリアに着たんだし、デートの1つくらいしてくれば?」

「・・・・・・どうします・・?」

「どうするって・・・」

「こういうときは攻めから誘え。もう!可愛いけどさー」

「え、じゃ、じゃぁ・・・行きますか?」




夕翡に後押しされ、ツナは顔を赤く染めながら雲雀の手を引いた。

雲雀も微かに頬を染め、綱吉に着いて行く。

初々しいカップルだこと。




「ふぅ、手が焼ける・・・。さてと、」




夕翡はにやりと笑い・・・・・歩き出した。

向かうは、骸の部屋・・




トントン




「はい」

「むっくん。デートしよ?」

「ぶっ!!」

「汚っ!!」

「なっ!ゲホゲホッ!!」




入ってきたのが夕翡だということにも驚いたが、

それよりも、デートと言われ飲んでいたコーヒを読んでいた本にぶちまけてしまった。

夕翡はうえぇと若干下がっている。




「ゲホゲホッ・・・はぁ・・・突然何ですか」

「うん?ツナと恭君の尾行。デートに行かせたけど・・・心配で心配で!」

「ストーカーですか?」

「まぁ、否定はしない。どこに行くかわかんないしー、カップルじゃなきゃ変って言う場所に行かれても困るから」

「あなた・・・」

「まぁ、別にむっくんじゃなくてもごっきゅんと「行きます」じゃ、さっさと備して」




まんまと夕翡にはめられた・・・ことに気付いていない骸は哀れだろう。

まぁ、10年前だろうと滅多にない夕翡からのお誘いだ。最初から受る気ではいたのだが。

骸は私服に着替え、適当な鞄を持った。




「・・・・・・・・カメラはやめたらどうですか?盗撮で警察に通報されますよ?」

「大丈夫!証拠隠滅するから」

「・・・・・・・」




それがどういう意味かはあえて気かないことにした骸だが




「ぁ、もちろん警察を消すって意味ね?」




たちまち意味ねー!!((




こうして、Wデートという名目の尾行は始まった。((






























「まずは、町をぶらぶら?まぁ、いいか。イタリアだし」

「というか、もろ尾行してる(壁から様子を伺う)はやめましょうよ。怪しいですら」

「んー、じゃぁ・・・変装する?」

「・・・・・え?」

「女装と男装する?」

「エンリョシマス」

「そう?もったいないなぁ。可愛いのに」

「・・・・・・僕は男ですからね?」

「うん、知ってるけど?だから?」

「可愛いなんていわれても嬉しくありません」

「だって可愛いんだもん!カッコいいって言われたかったら攻めらしくしてみなよ」




むぅと不機嫌そうにしている骸をクスクス夕翡は笑った。

いつもいつも余裕そう。いつの時代も夕翡は変わらない。




「ぁ、アイス買おうとしてる・・・・・イタリア語喋れるっけ?」

「話せませんよ。彼が覚え始めたのは中学3年ごろだったはずですから」

「だよね。てか、そうなんだ。ぁ、恭君が話してる」




すいません、すいませんとしょぼくれながら謝っているツナ。

雲雀はアイスをツナに手渡し、近くのベンチに座った。

やっぱり、ツナヒバというよりはヒバツナ((




「うーん、やっぱ黒さが足りない。恭君しだいかなぁ」

「・・・・・・・・・・・」

「むっくん?」

「不満です」

「不満?私とまともなデ−トが出来ないのが?」

「はい」

「それ、この時代の私に対する浮気じゃ・・・」

「夕翡なんて性格全然変わりませんから。普段浮気してるんす・・・僕がしたって文句言わないですよ」

「ふぅん。じゃぁ、私達もアイスでも食べる?ツナたちは大丈夫だろうし」




ムスくれている骸の頭を撫でて、夕翡はアイスを買いにいった。

骸もそれについていく。

もちろん、これが唯の我儘だっていうことは分かっているし

夕翡が、まだ自分を好きでいてくれないということも分かっていが・・・




「はい、チョコ」

「ありがとうございます」

「んー、やっぱり本場のジェラートはおいしいよね♪」

「・・・・・・・・・・」

「まだ不満?」

「・・・・・まぁ、」

「それは、私が骸のことを好きじゃないからだと思うよ?」

「え?」

「この時代の私は、確かに骸のことが好きだからそういう気配?を骸は感じてたんだ思う。雰囲気かな?」




言われてみれば・・・という気もする。

この時代の夕翡は、確かに変わらず雲雀&ツナLOVEだったのが・・・

その一方でちゃんと骸を好きでいてくれた。

だから、本気で心配したことはなった・・




「もうちょっとしたら大丈夫だからそれまで我慢ね?」

「・・・・本当に、変わりませんね」

「ふふ。私は私だから」




にっこり笑うその顔に、この時代の彼女の顔が重なった。

同じ・・・じゃないんだ。

やっぱり、一緒に積み重ねてきた彼女じゃなきゃ・・・




「前言撤回します。やっぱり、10年で変わりましたよ」

「そっか。骸は・・・私の過去を聞いたの?」

「えぇ。綱吉君たちもですけど」

「ふぅん・・・」

「信じられませんか?」

「まぁね。そこまで信用出来るのかな、私は」




まるで他人事のような口調だった。

夕翡は骸の顔を見ずに、沈み始めた夕翡に目をる。

その後姿が・・・やけに、印象的だった。




「帰ろうか」




そういう彼女の顔は、わからなかった。

声は明るかったけど、心の中で何を思っているのか。

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