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「はぁ・・・はぁ・・・」



走ること数十分。

森を抜けて町を出たまではいいものの・・・自分がどこにいるかはまったく分からない。



「とりあえず連ら「咲!!」うぉっ!!」

なにやってんだてめぇは!!

「ス、スクアーロ・・・」



突然の声の出先は、ポケットだった。

性格にはポケットの中に入っている携帯から。

緊急事態のときは、電話に出なくても通じるようになる。



「たくっ。やっと繋がったぜぇ」

「咲ちゃ〜ん。大丈夫?」

「う、うん・・・。何とか。」

「いまどこだぁ」

「わかんない。これから調べるから待ってて。」

「あぁ」



ピッ

一度通話モードを止め、ナビモードに切り替える。



[ピーッ。サーチ中ー・・・サーチ中ー・・・]

[ピーッ結果が出ました。この町は"ネロ"です。]



「もしもし?ネロだって」

「ネロォ?ずいぶん遠いとこにいんなぁ・・・しかも面倒だぞォ。吸血鬼はどうしたんだぁ」

「逃げてきた」

「・・・そうかぁ。じゃぁ、そのままさっさと戻ってこい」

「うん。ぁ、そうだ。スクアーロ。聖血って知ってる?」

「聖血?」

「うん。詳しく調べといてね。じゃ」



スクアーロが何か返す前に、素早く咲は電話を切った。

そしてぐるりと町の様子を見渡す。

"ネロ"は人間の住む町ではない。

太陽の光の届かない暗闇に包まれた町。

ここには吸血鬼と人間のハーフ・・・・一般的にバンピールと呼ばれる種族が住む。

バンピールは吸血行為を必要としない。

だが、人間をはるかにしのぐ身体能力を兼ね備えている。

やはり太陽の光が少し苦手で、聖水などには軽い痛みを感じる程度。

それでも人間とは愚かしい種族で自分と違うものは拒絶する癖があるらしい。

そうして迫害を受けたバンピールの住む町、それがネロ。

だから、ここに住むものは人間嫌いが多い。

なるべく早く町から出るのが得策だろう。



「おじょうちゃん、、一人?こんなところでなにやってるんだい?」

「っ!!えー、えっと・・・おつかいだよ」

「へぇ。偉いねぇ」

「ありがとう。」



ニコニコ笑いながら話しかけて来た老婆に、咲は苦笑いを浮かべ適当にあしらった。

そしてなるべく人気のない道に入る。

どこへ行けばいいのか分からず、適当に歩くしかない。

太陽が当たらないから今が昼なのか夜なのかも分からないが、次第に周りは暗くなっていた。

次第に回りのものが見えなくなっていく。



ゾクリ



「っ!!」



背筋に悪寒が走った。

何か嫌な予感がして、思わず駆け足になる。



ボォォオオオ



「なっ!!」



町が、急に明るくなった。

ごうごうと高く舞い上がる炎。

真っ赤に染まる町が、そこにはあった。



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