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逃げ惑い、焼けていくバンピールたち。
ドンッ!「ぁ、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。あんたもさっさと逃げたほうがいい!!」
「いったい何が・・・。」
「やつらが・・・"ミルフィオーレ"のやつらが攻めてきたんだ!!」
ミルフィオーレ。
その名は咲も聞いたことがあった。
昔々、吸血鬼が人体実験の結果生み出したもの立ち。
人間、吸血鬼、魔族、動物、さまざまなものを掛け合わせて生み出した化け物だと。
最近になってやっとその実験は禁止されたが、続けている研究所も多い。
そうして生み出された者たちが結集して出来たのがミルフィオーレ。
彼らは吸血鬼を憎んでいる。
バンピールを狙ったのは力が弱く、似たような身の上でありながら化け物と称されるミルフィオーレと保護されているバンピールの違いに怒りを抱いてだろう。
「許さない・・・。」
逃げ惑う人々とは反対の方向に、咲は歩き出した。
炎の燃え盛る町へと。
「アハハハ!すごいなぁ・・・これは。」
龍に乗り、笑いながら町を見下している青年。
咲の知っている情報に間違いがなければ、ボスの白蘭だろう。
町を燃やしているもの、逃げ道をふさいでいるもの、バンピールを殺しているもの・・・。
確実に白蘭の手下。
「破っ!」
「! んにゅ〜、だーれ?」
見ていられなくなり思わず、近くでバンピールに攻撃していた少女に攻撃を食らわせる。
だが、まったく聞いた様子なく
不機嫌そうな顔で咲を睨みつけている。
「ひぃ!」
「にゅにゅにゅ〜
あんたバンピールじゃな〜い!白らーん、この子だぁれ?殺しちゃっていーい?」
白「え?人間?いいよ。戦争は犠牲につきものだよね♪やっちゃって、ブルーベルちゃん!」
ブルーベル、そう呼ばれた少女はフフンッと不敵に笑い咲を見た。
咲もやる気満々らしく、手に武器を持っている。
ブ「フフんー。私に勝てるわけないよーだっ!」
「そう?油断は禁物じゃない?」
パァァアア
手に溢れるほどの"気"を浮かべ、一揆にブルーベルに向かって放つ。
バァンッ!!ブ「・・・・
馬鹿にしないでよ。」
「!!
ガハッ!!」
静かな、声だった。
怒りが隠れている。
まったく咲の攻撃がきかず、ブルーベルの蹴りによって家に突っ込んだ。
すかさず、ブルーベルの手が咲の首を締め付ける。
ブ「私たちは人間なんだから。そんなもの利かない。」
「
グッ! ふんっ!貴方たちこそ・・・
人間なめんなよ!!」
ブ「! にゅにゅっ!!」
ドガッ!!咲はブルーベルの手に蹴りをいれると、一歩後ろにジャンプした。
いつの間にか手には・・・鉄のバトンのようなものが握られている。
ブルーベルが顔をしかめるが、咲は容赦なく攻撃をいれた。
バンッ!ブ「う゛!?」
一振りで、払われた。
ブルーベルは咲よりも深く家に突っ込み、煙が舞い上がる。
「元人間だって言うなら俺が負けっかよ。かっ消えろ、カスが。」
咲は屋根を伝い、まっすぐ白蘭の元へと向かった。
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