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「な・・・・なんなの!?なんで村人が!!?」

「どうやら・・・全部嘘だったみたいだね」

「嘘・・・?」

「吸血鬼は血を吸って殺した相手を思いのままに操ることができる。村人は全員吸血鬼の操り人形さ。危険だよ。全部滅さなきゃ」

「分かってる!」



咲は困惑していた。

本来なら護るべき村人たちを攻撃していいものか。

だが、娘は咲にしがみつき離さない。

村人たちはいっせいにたちに襲い掛かってきた。



「っ!やりなよ咲!じゃなきゃ・・・吸血鬼を倒さなきゃこいつらの魂は浮かばれないんだ!

「っ!!破ッ!



当たり一面に気を撒き散らして爆発させる。

一瞬にして村人たちは灰へと変貌した。



「キシャァァァアアア!!」



突然襲いかかって来る吸血鬼に、咲は動じることなく静かに目を細め手を合わせる。

そして、気を溜め・・・放った。



魔払いは、なろうとしてなれるものではない。

生まれ持って魔を撥ね退ける体質を持つものだけがなれる特別な職業。

そして、そのものが纏う気こそが魔を払う。



「永遠に散れ」



吸血鬼の体はバラバラに砕けた。

だが、



この程度か!!

「っ!?きゃぁ!!

「咲!」



まったく効かなかった。

散った吸血鬼の体は瞬時に元に戻り咲を吹き飛ばす。



ガンッ!



木に叩きつけられ、飛びそうになった意識を何とか持ちこたえる。

咲は慌てずに立ち上がり息を吸った。



「・・・桜吹雪」



青白く光る固まりは砕けて、吸血鬼を囲んだ。

無数の光が吸血鬼に張り付き



「ぐっ・・・・こ・・ん・・・な・・・も・・・・のっ!!」

「なっ!!」



吸血鬼の体から光が溢れ、咲の体を吹き飛ばした。



「っ!!」

「なにやってるんだい。さっさと逃げるよ」

「マーモン」



走り出した吸血鬼に思わず目を瞑った咲だが、マーモンの声に目を開け、木の影に逃げ込んだ。

マーモン、彼は普通の魔払いと違い幻覚を使う。

脳に直接働きかけ、嘘の情報を教え込む幻覚。

マーモンに魔を払う力はない。だからこそ、誰かとペアになっての任務に意味があった。



「ごめっ・・・」

「相手が悪いね。やっぱり」

「私に力がないからっ・・・・」

「気にしないで。生きて帰ることが最優先だよ」

「・・・・・うん」



ガサササッ!!



「ッ!ゲホッ!!

「人間の分際で面倒を」

マ「咲!」

あ゛ぁ゛!



首元を押さえつけられる。

息ができなくて、苦しい。

思わず目を瞑っていると、首元に裂けるような痛みが走った。



あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!



痛みは・・・一瞬だった。





「やっと・・・捕まえた



うっすらと開けた目に映った彼は、捕食者の笑みを浮かべていた。



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