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「ようこそいらっしゃいました、ビアンコへ!!雪桜の方ですよね」
「「はい」」
「お部屋にご案内します!」
町長は咲とマーモンを快く歓迎してくれた。
服を貸してもらい一安心だ。
けれど・・・
「なんか・・・・・・嫌な予感がする・・・」
「咲?」
「よく分かんないけど・・・気をつけてね!マーモン!」
「普通気をつけるのは咲だよ。女の子なんだから」
「そうなんだけど」
よく分からないと咲は苦笑した。
咲の予感は当たったり当たらなかったりで正直当てにならない。
そんなに強い魔の気配がするわけでもない。夜になって見なければ分からない・・・と言うことだ。
日が沈む。
もうすぐ深夜だ。
「そろそろ・・・・か。どうする?」
「どこら辺なのか決まってるわけでも規則性があるわけでもないからね」
「困った困った」
「悲鳴を聞くまで動かないほうがいいね」
屋根から街を見るが、ポツリポツリ灯りが見えるだけでシーンッとしている。
キャァァァァアアアアア!!「「!!」」
悲鳴が轟いた。
咲とマーモンは顔を見合わせ、パッと屋根から飛び降りる。
マーモンが雪桜に入っていたころはよく一緒の任務をしていたからお互いの考えは分かる。
悲鳴の聞こえた場所にいたのは・・・・・
ジュルルルルッ何かを吸うような音。
その音に、背筋がゾクゾクとした。
「吸血・・鬼っ・・・」
「襲われているのはこの村の娘のようだね」
「うん」
"破ッ"
一応攻撃をした。
もちろん吸血鬼は簡単に避けたが、娘から引き離すのが目的だから構いはしない。
けれど・・・・
「ダメだね・・・。
死んでるよ」
「っ!」
「
ハッハーイ!!雪桜にアルコバレーノ!俺は付いてる!お前らさえやってしまえばあの方だって!!」
「あの方・・・?」
「
咲!!」
「!
破ッ!」
遅いかかって来る吸血鬼に咲の攻撃はまったく意味を成さなかった。
吸血鬼は他の下級魔族とは違う
人間と同じくして知能を持ち社会を作る。
だからこそ、厄介で強い。
牙を光らせ、爪を振る。
その気圧だけで数箇所服が切れた。
「えっ!!」
「な・・・・」
グイッ服が急に引っ張られた・・・
確かに死んでいたはずの娘が起き上がり、咲の腕を引っ張っている。
「なんっ・・・で・・・」
「!!」
「クックック。
アーハッハハ!」
吸血鬼の笑い声が・・・響いた。
咲とマーモンを・・・村人たちが、囲んでいた。
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