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ピピピピッ
「ふわぁ〜。おはよー」
眠たい目をこすりながら咲が起きると・・・・
床には血。
部屋中からさびた鉄のような匂いがした。
「ザン兄ー?ベルー、スクー、ルッス、フラン、レヴィ・・・?」
「こっちよ〜」
トトトッ
声はバスルームからだった。
血の匂いも・・・・そこから。
「どうしたの!?」
「ちょっと任務で怪
「きゃぁあああああー!!」ちょっとスクアーロ!なにやってるのよ!」
「俺かぁ!?服脱いだだけだろうが!!」
「デリカシ−ってものはないの!?」
「カス鮫最低ー♪」
血まみれのベルとスクアーロだが、見たところかすり傷だけのようだ。
咲が叫んだのは、急にスクアーロが服を脱いだから。
それにしても、あの2人に傷を負わせるほどの魔物なんて・・・
「そんなに強かったの?」
「あぁ。吸血鬼だから用心してたが・・・」
「退治したけどな♪」
「よかった・・・」
「というわけだから咲ちゃん、任務気をつけてね!場所はそう近いってわけでもないけど・・・」
「アイアイサー!いってきます!」
今日は咲にも任務がある。
台所にある朝ご飯を食べ、元気よく家を飛び出した。
今日の任務先は"ビアンコ"
白好きの人ばかり住んでいるらしい。
その町で毎夜女性の甲高い呻き声が響くとの話だ。
町の中の誰かが死んだわけでもないが、不気味なので調査してほしいとの依頼。
「うーん。一人じゃ怖いかも・・・」
「一人じゃないよ」
「うわっ!マモちゃん!?」
「同じビアンコだろ?」
突然現れた赤ん坊はマーモン。
元々同じヴァリアー幹部の魔払いだったが魔払いの総本部にスカウトされ"アルコバレーノ"として世界各地で働いている(アルコバレーノのことは咲もよく知らない)
依頼されることもあるが、大概は現存している魔物や奇怪現象の調査が仕事らしい。
「依頼?」
「ううん。毎晩女性の甲高い呻き声がするっていう噂を聞いてね。それでも最近のことらしいけど」
「へぇ〜。町の人はみんな白好きなんだよね!」
「・・・・誰に聞いたんだい?ビアンコの名前の由来は一年中降り続ける雪のせいだよ。全てが白に染まるからビアンコ」
「・・・・・
ザン兄の嘘つきー!!」
遥かかなたに向かって叫ぶ。
あっさり騙されるほうも騙されるほうだが。
思わずマーモンは苦笑する。
「通りでそんな寒そうな格好だよ」
「もー。っ、う゛・・・寒っ」
「ビアンコに近づいてきてるからだよ」
「う゛ぅ゛ー。この格好じゃ辛い」
咲のいた雪桜のある町は、今は夏だ。
"ヴェルデ"という名前だけに植物の割合が多い町。
当然咲の格好は短パンにタンクトップ。
「町の人に服を化してもらいなよ。ほら、あれがビアンコ」
マーモンの指差す方向には雪に埋もれた町があった。
こんな格好であんなところに入ったら凍死してしまう。
「クシュンッ!」
「はやいとこいったほうがよさそうだね」
町に近づくにつれて体に震えが走る。
思えばそれは、血の警告だったのかも知れない。
来た来た 極上の 獲 物 だ[前へ][次へ]
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