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「破っ!」



ボンッ!

少女の掛け声と共に、何かが砕け散り肉の破片へと変わった・・・・・・かと思えば、桜の花びらとなって消える。

ふぅという息と、感嘆のため息がその場に広がった。



「これで終わり・・・かな?」

「あ、ありがとうございました!!」

「いえいえ〜。困ったことがありましたらまた、"雪桜(ゆきざくら)"にご依頼下さい」



にこりと笑い、少女・・・咲は村を出る。

淡い桃色の髪に茶に近い黒い目をした綺麗というよりは可愛い少女。

彼女は有名な魔払い"雪桜"の一員なのだ。

魔払いとはいパン的に魔とされるものを払うのが仕事であり、たいていは魑魅魍魎の類を退治する。

知能のあるやつらはずる賢いうえ力も強く、そう簡単に滅することは出来ない。

が、知能があるだけに人間に迷惑をかけようというやからもそういないので、咲は強い魔に出会ったことはなかった。



「たっだいまー!」



咲は元気な声で扉を開ける。

入ったそこは、特別豪華と言うわけでもなく普通の喫茶店のような場所だ。

ここが雪桜の本拠地である。



「楽な任務だったよ♪」

「フンッ。カスが良くやったな」

「やりぃ!」

「カスって褒められてませんよー」

「んー、うっさいなぁ。ザン兄なりの褒め言葉なの!」



雪桜団長ザンザス。

鋭い眼光と気迫に並のものだったら体が硬直してしまうだろうが、咲にとってはいいお兄さんだった。

見た目に似合わず弄られ役である。



「そんなことよりそっちはどうだったのよ、フ・ラ・ン!」

「もちろん楽々クリアーですー」

「どうせ弱かったんでしょ」

「はいー。一瞬で粉々でしたー」



この少年は咲と同じく雪桜幹部のフラン。

いつも敬語だが毒舌。

たまに黒く豹変することもある。

ちなみに被っている蛙は趣m「潰しますよー。」・・・先輩であるベルに無理やりかぶせられているらしい。



「たっだいまー♪」

「う゛お゛ぉい。帰ったぞォ」

「おかえりー」



今入ってきたのがベルとスクアーロ。

幹部の2人だ。

特にスクアーロは雪桜の副団長(雑用兼パシリ)である。



「よっ、咲帰ってたんだ」

「ふふん。私のほうが早かったね」

「う゛お゛ぉい。報酬だぁ」

「いくら?」

「10クル(約10万)だぁ」

「チッ。私も10クル。同じか」

「当たり前ですー。依頼料が10クルなんですからー」

「うるさいなぁ。お金が足りないとか感謝の気持ちで増えるとか」

「そんなこと一回もねぇけど」

「金がねぇならたのまねぇだろ」

「そーだけどさー」



咲はつまらなそうに口を尖らせた。すると



グゥゥー



「「「「・・・・・・・・・・」」」」



可愛いお腹の音が響く。

時計の針は6時をさしている。

そろそろ夕飯の時間だ。



「夕飯ができたわ〜。手伝って頂戴ー。」

「ぁ、はーい!」



今のも幹部の一人。

自称ヴァリアーの紅一点、おかまのルッスーリアである。

真の紅一点が咲であることは全員が思っていることだ。

ルッスーリアの声で咲はキッチンに向かい、リビングに料理を持って行く。

体は男のくせに、料理や家事はそこら辺の女よりうまい。

それがルッスーリアだ。

咲張るッスーリアから女のたしなみを教えてもらっている。



「今日は少し奮発して見たわよ〜」

「美味しそう!てかルッスのご飯はいつも美味しいけどね!!」

「ありがと〜」

「フンッ。まぁまぁだな」



毎日がこんな感じで、いつまでもこんな毎日が続くのだと信じて疑わなかった。

けど、そうはいかない・・・



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