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白「あれ?咲ちゃんじゃない。」

「っ・・・・。」

白「覚えてないの?僕のこと。」

「貴方なんか・・・知らない。」



それは嘘だった。

白蘭の顔は見たことがある、

そして、白蘭の名前もまだ覚えていた。

咲は目の前の人物を確かに知っていた。

けれど、そんなことは気にしないようにして、心を落ち着け、白蘭を睨みつける。



白「え〜。咲ちゃん、酷いな〜。あんなに遊んであげたのにね。」

「知らない。」

白「じゃぁ、なんで・・・そんなに悲しそうな顔してるの?

「っ!!白蘭っ・・・お兄ちゃん・・・なんでっ!!」



目頭が熱くなる、

慌てて流れそうになった涙を拭った。

彼は、小さいころよく遊んでくれた憧れのお兄ちゃんだった。



白「まぁ、いいや。咲ちゃんに久しぶりに会えたわけだし。今日はこれで引こうか。行くよ!

「っ!待って!白兄っ・・・っ、」



白蘭たちは、一斉にして消えてしまった。

"どうして"そんな疑問が解消されずに心に残り続ける。







*







ザ「・・・・そうか。災難だったな。」

ベ「本当だし。吸血鬼に会って攫われて襲われて・・・どんだけだよ。」

ル「けど、無事で良かったわ〜。」

「マーモンは?」

ス「お前が無事だって聞いたら仕事に戻ったぞぉ。」

「よかった。で、聖血について調べられた?」



温められた牛乳を飲み、ホッと一息つく。

今まで色々あって混乱してたけど、真っ先に浮かんだのはそれだった。



ス「あるにはあったが・・・どうしたんだぁ?急に。」

「・・・吸血鬼に言われたの。"私は聖血だって。"」

ス「なぁ!!」

ザ「!!」

べ「咲が・・・・」

「えっ、え??」



誰もが驚きを隠せないようだ。

スクアーロたちはともかく、ザンザスまでもが目を見開くなんてよっぽどだ。


ゾクゾクッ!


嫌な予感が体中を駆け巡る。



「な、なんで?」

ス「・・・聖血と呼ばれた人間は今までに何人もいたぁ。けどなぁ、その力のせいで魔族に殺されたり、人間のために犠牲になったり・・・結果はいつだって最悪だぁ。」

ザ「本当なのか、お前が聖血なのは。」

「た、多分・・・。吸血鬼が私の血を飲んだとたん灰になって・・。」

ベ「大変じゃん、それ。」

ザ「咲。他のヤツには自分が聖血だってこと絶対に言うんじゃねぇ。」

「う、うん。分かった!」

ル「あら、ね〜ぇ?ここに処女を失えば聖血としての力はなくなる。って書いてあるわよ?」

「「「「処女ぉ!?」」」」」

ル「何人か実例がいるから確からしいわ。」

「えっ、えぇー。でも、処女でしょ?処女って・・・」


ベ「咲に相手がいるわけねーじゃん。

フ「うわー。咲先輩悲しいですー。」

「うっさい!まだ17だからいいのー!」

ザ「・・・そうだな。」

「うわぁぁあん!今の間は何よ!!今の間ー!!ザン兄の馬鹿ー!!」

ベ「ししっ。彼氏いない歴17年をボスに当たるなって。」

フ「みっともないですよー。」

「うっさいうっさい!あんたたちだって似たようなもんじゃん!!」



涙目でベルとフランを睨みつけると、2人はそろってきょとんとした。

嫌な予感がする。



「「いるけど・いますけどー?」」

「なっー!!」

フ「咲先輩と違ってもてますからー。」

ベ「俺、今はいないけど昨日別れたので調度100人目だしな。」

「!!そんなっ・・・って、ザン兄!?

ザ「・・・・・・・・」



今のザンザスをあらわすならまさにズーンッ。

沈んでいる。

ただでさえ暗い顔がさらに暗くなっていて、きのこが生えてきそうだ。



「え、まさかザン兄・・・彼氏いない歴2「いうなぁ!!」マジ!?」

ベ「え・・・ボス・・・。」

ザ「うるせぇ、カスが。かっ消されたいようだな。



低く、ドスの聞いた声にゾクリと背筋に悪寒が走る、


コォォオオオオ


そして、手に炎が宿った。



ス「落ち付けぇ!!(汗」

かっ消えろ。



ドッガーンッ!


家が爆発した。

一ヶ月に一度はこう言うことがあるとはいえ・・・全員の口から溜息を濡れる。

スクアーロはさっさと屋根を直しにいった。


ジーーーーッ



「ん?ぁ、依頼書だよー。」

ベ「なんだって?」

「村に現れて悪戯されるって。魑魅魍魎か妖精の類?」

ザ「レヴィにいかせる。」



めんどくさいことは全てレヴィ、それはヴァリアー(暗黙)の掟である。

レヴィはボスのため、と反論せずに任務をこなすのだが。



「そうだ!ミルフィオーレ!!」

ザ「ミルフィオーレ?」

「ネロでバンピールが襲われてて・・・そのボスがっ・・白兄だった・・・。」

ザ「・・・そうか。」

「知ってたの?」

ザ「聞いてはいた。」

「なっ!なんで教えてくれなかったの!?



咲はキッとザンザスを睨みつけた。

ザンザスはしばらく咲を見ていたが、やがて視線を外す。



ザ「確証がなかった。」

「・・・そっか。なんでっ、白兄・・・実験体にされてたの?」

ザ「ミルフィオーレにいるなら・・・そういうことだろうな。」



咲は幼いころから両親と折り合いがあわず、近所の白蘭がよく構ってくれた。

優しくて、頭がよくて、自分をいつでも助けてくれていた彼は・・・いつの間にかいなくなっていた。

それから、咲は荒れた。

毎晩のように人も魔族も関係なく襲う。そんなとき、偶然ザンザスを襲ってしまい・・・

今の魔払いとしての生活があるわけだが。



「っ・・・」

ス「う゛お゛ぉい!!大変だぁ!!」

「スク?」

ス「町に火の手が上がってるんだぁ!!



その言葉で、目の前が真っ暗になった。



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