■■■■ Confession : scene.1
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一方ロックは、そんな彼女を見て少々の罪悪感はあるものの、心の奥底に潜むある感情を止められずにいた。
彼女は普段から、そんなに感情をあらわにすることがない。
その所以はきっと、以前帝国の将軍として生きてきた過去があるからなのかもしれないが。
けれどそれは、ロックが彼女に想いを告げてからひと月経った今でも変わることはなくて。
それどころか、彼女は一度たりともロックに自分の想いを伝えてくれたことがなかった。
キスして抱きしめて、愛してると囁いて。
ロックがそうして彼女に想いを伝えることに拒絶を示さず、はにかんで受け入れてくれるところを見ると、多少なりとも自分に気を許してくれている、とは思う。
…けれど。
(…本当は…どう思ってる…?)
無理に言わせようとは思わない。
けれど、たとえ自分の想いを彼女が受け入れてくれているのだとしても、彼女の想いを聞いていない以上、いくらロックといえども不安になる。
そんなある時…。
瞼を閉じ、昼寝をしようと思っていた所へ突如耳に飛び込んできた、彼女の告白。
「…あなたが好き…。」
心臓が 止まるかと思った。
初めて聞いた、自分への、彼女の素直な想い。
嬉しくて。
どうしようもなく嬉しくて。
その場で抱き竦めたい衝動に駆られたが、目を開いて彼女を捕らえれば、もう二度とその想いを紡いでくれなくなるような気がして…。
溢れ出す愛しさと衝動を渾身の力で押さえ込んだ。
彼女はその一言だけを言うと、直後耳まで赤く染め、すぐさまその場を立ち去ってしまった。
ロックは閉じていた目を開いてその後ろ姿をぼんやりと見送り、自分の胸の奥、彼女の言葉が燈した小さな幸せを一人何度も反芻し、嬉しさに顔が緩んでしまうのを止められなかった。
昼寝が別の理由で好きになったのはその日からだった。
その日から、彼女は普段絶対に口にしない想いを、ロックが眠っている時だけ伝えてくれるようになった。
ロックはその度に、寝ているフリをして、黙ってその告白を聞く。
そんなやり取りがどのくらい続いただろう。
はじめのうちは、自分が眠ってさえいれば彼女は素直な気持ちを言ってくれる、
彼女の胸の内を知ることができる事に満足していた。
けれどロックとしてももう、黙って聞くだけな事に限界を感じていた。
好きなのに。
お互いに想いも通じ合ってる筈なのに。
どうしてその想いを伝える大事な時に一方的なのか。
目も合わせず、ただ聞くだけなんて…。
聞くだけじゃなく、ちゃんと受け止めたい。
そしてちゃんと伝えたい。
それに対する自分の想いを…。