■■■■ Confession : scene.1
6
思い立ったら即決行。
とうとう、寝たフリを止め、行動を起こした。
セリスは知ってしまった。
ロックがいつも寝た振りを決め込み、密やかな彼女の告白をずっと黙って聞いていた事を。
思った以上に彼女は動揺していた。
余程知られたくなかったのだろう。
セリスのその可哀相なくらいのうろたえぶりに、ロックは申し訳ないと思いつつも、一つの想いが頭を駆け巡る。
普段感情をあまり表に出さない彼女が、今自分の目の前でどんどん乱れていく。
羞恥からか、これ以上ない程に顔を真っ赤に染めて、小刻みに震えながら自分の肩を抱き、形のよい眉が苦しげに寄せられている。
視線を泳がせているその深い青の瞳は潤みきって、今にも涙が零れ落ちそうだ。
そんな彼女が新鮮で妙に、
―――煽られる。
「セリス」
手を伸ばした。
手が腕に触れた瞬間、びくん、と反応する彼女。
構わずロックは彼女の腕を捕らえる。
「セリス。こっち向いて」
そう促したが、セリスは視線を外したまま首を振って拒否する。
「セリス…」
今度は彼女の頬に触れ、半ば強引に自分の方へ向かせた。
「ロック…」
目と目がかち合う。
セリスの瞳は今だ潤みきったままで、ロックはそんな彼女の瞳を熱の篭った表情で見つめた。
…と思いきや。
ロックはニッコリ笑って口を開いた。
「好きって、言ってみ?」
「………へ?」
「へ?じゃなくて。『好き』って、いつも俺が寝てる時に言うみたいに言ってみてよ」
「え、ええッ!?」
「ほら早く。可愛くなかったらアウトな」
「や…やだ!嫌よ!何で私がそんな事…!」
目をクルクルさせて慌てふためくセリスに、ロックは先程とは打って変わって急に切なげな目をし、呟く。
「…嫌か。やっぱり…」
「―――…っ…」
ズルイ、そんな表情するなんて。
けれども寂しげに目を伏せるロックに言いようのない愛しさを感じて。
セリスは逡巡していたが、やがて意を決したように彼を見つめた。
いつか…ロックの目を見て告げようと思っていた言葉。
お願い…受け取って。
私の想いを―――…。
「…―――すき…。」