■■■■ Crash down!
5
沸き上がる理性を無理矢理奥底へと押し込みつつ、セリスを横抱きにして抱え上げた。
が、流石に1日の疲れが祟っているのか、それとも彼女のいつもと違う姿態を見てのぼせてしまっていたからか。
彼女を支えていた手を一瞬滑らせてしまった。
「ぅわッ…!」
「きゃっ…!」
危うく彼女を落としそうになり、ロックは慌ててセリスを抱え直した。
今度はしっかりと腕の中に収まり、落とす事、落とされる事を免れた二人は同時に安堵の吐息をつく。
「ご…ゴメン!大丈夫か?」
「うん、ごめんなさい…私が重いから…」
「いや!そうじゃなくて俺が……」
自分の不注意を謝ると逆に彼女が自分を責めだした為、慌てて弁解しようと腕の中の彼女を見遣った。
その時、
はたと気付いた。
彼女との距離があまりに近い事に。
それもその筈で。
セリスは先程の落下の危機に、咄嗟にロックの首に両腕を回して抱きついたのだった。
「……………ッ!!?」
ロックは思いもしなかった彼女との距離に心臓が瞬時に跳ね上がり、赤面すると同時に身体を引き離そうとした。
けれど、手を離して彼女を落としてしまうわけにもいかず…結局その距離は数ミリも変わらない。
「あ…、苦しかった…?ごめんなさい…」
そう言いながらも、彼女の腕はまだ自分の首元に巻かれたままで。
ロックの身体に密着し、鼻先が今にも触れ合いそうな程に近い距離で、ロックを見上げながら申し訳なさそうにしゅんと小さくなるセリス。
そんな彼女を目の当たりにし、無理矢理押し込めていた筈の理性が再び湧き出しはじめ、ロックの心を激しく揺るがした。
……ヤバイ……ヤバイヤバイ………ッ!
ヤバ過ぎる………ッ!!!