ベッドシーン(その後)
私が毎週楽しみにしているトキヤ主演の深夜ドラマ。昨日、ついに例のベッドシーンが放送されて。
例の如く、私は体育座りでテレビの前に待機して拝見した訳ですが。
もう、それはそれは色っぽくて。
上半身裸になって、ベッドの上で女優さんに覆いかぶさるトキヤがたまらなく格好良かったの。
それと同時に、
なんとなく複雑な気持ちになってしまったのも事実で。
案の定、放送直後からネットは大騒ぎ。
トキヤに対して、格好良いだのセクシーだの抱かれたいだの、絶賛の嵐。
分かるよ。だって本当に格好良かったんだもん。
これはあれだね、抱かれたい男ランキングにランクインしちゃうよトキヤ。
でもやっぱり妬いちゃう。
トキヤは私のなのに。
自分より綺麗な女優さんがトキヤに抱かれているのを見るのは、正直きついものがあった。
ドラマだって、分かってるのに。
ピンポーンとチャイムが鳴る。急いでドアを開けると、仕事から帰ってきたトキヤの姿があった。
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい!」
にこりと微笑むトキヤ。
その笑顔に、安心する。
でもこのモヤモヤはなかなか晴れなくて。
玄関で靴を脱ぎ、部屋へ入るトキヤの前に、ひょっこりと回り込んで正面に立つ。
ちょっと不思議そうな顔をしたトキヤに正面から抱き着いた。
「なまえ?」
「……ん」
「どうしました?」
「昨日の放送見た」
「…あー、」
そうですか、と何事も無かったかのように言うから。きっとトキヤにとっては本当にただの仕事で、大したことじゃないんだなって思った。
それでも我儘な私は、気持ちを察して欲しくて、必死に背伸びして、身長差のあるトキヤに口付けた。
「なまえ」
「ねぇ、トキヤは私のものだよね…?」
「ふふ、当たり前じゃないですか」
優しく笑いながら、嫉妬しました?って聞いてくるものだから。悔しいけど、素直に首を縦に振った。
トキヤは髪を撫でて、屈みながら私にキスをくれた。
「もう一回、」
それが嬉しくて、トキヤの首に手を回して、もう一度キスをせがむ。
トキヤはそれに応えるように、角度を変えながらキスを繰り返す。
「…ベッド行きますか」
「いい、ここでして…?」
トキヤを抱き締めながら、やや強引に自分の背中からソファになだれ込む。
トキヤが上で、私が下。
欲情したトキヤの顔を下から見上げるのが、私はたまらなく好きだ。
いつもはしないけど、そのままトキヤのシャツのボタンに手をかけた。
「おやおや、今日は随分と積極的ですね」
「…だめ?」
「駄目じゃありませんよ、可愛いです」
シャツのボタンを全部外して、はだけさせた。
その間にもトキヤは私のTシャツの中に手を入れて、胸をまさぐり始める。
鍛えれられたトキヤの身体。
二の腕から背中にかけて手を這わせる。テレビにも映ってしまったトキヤの身体だけど、自由に触れられるのはきっと私だけ。
「ふぁ、あ…」
ドラマより何倍も濃厚なキスをくれるトキヤ。
それに応えるように、私もトキヤの首にまた腕を回して、距離をさらに縮めた。
下の服も下着ごと一気に脱がされて、素肌を晒した太腿にトキヤの硬くなったものが押し付けられる。
私も我慢が出来なくなり、首に回していた腕をズボンのベルトに移動させた。
かちゃかちゃ、と動かすけど上手く外せないでいると、トキヤが微笑んで手を添えて外すのを手伝ってくれた。
「私が、外したかったのにっ…」
「すみません、我慢ができなかったもので」
早く挿れさせて下さい、なんて掠れた甘い声で囁かれたなら、もうたまらない。
自分から足を開いて、なんていやらしいんだろうって思う。
「なまえ」
「あぁっ…」
「愛してますよ…私が欲しいのは、いつだってあなただけです」
「トキヤっ…ときやぁ…!」
ずっと欲しかったトキヤのモノが挿入された瞬間、それだけで達してしまいそうなくらいの快感に襲われる。
「あっ、あ…とき、や、」
「なまえが嫉妬してくれるなら、ああいうシーンを撮るのも、悪くないですね、」
本音を言うなら、たとえドラマであっても、ほかの女の人を抱き締めて欲しくないけれど。
トキヤがこうして愛情を注いでくれるから、もうなんでもいいかな、なんて思ってしまった。
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