voice of mind - by ルイランノキ


 悲喜交交21…『voice RUI』


〜RUI Voice of mind〜

 
ミシェルさんの友人代表として現れたアールさんは、とても美しかった。
きっとあの場にいたメンバーはみんなそう思ったのではないかと思います。口に出さなくても空気が一変して伝わるものがありましたから。
それと同時に、あまりにも綺麗だったあなたを見て心のどこかが寂しくなった。
 
やはり貴女は一人の女性で、ウエディングドレス姿のミシェルさんに憧れる一人の女の子で
貴女から使命を無くせばこんなにも輝けるのに、運命が、僕らが、それを奪っているような気がして。
 
許されるのなら、可能ならば、僕達だけで旅を再開したい。
彼女にはひとりの女性としての人生を歩んで、幸せになってもらいたい。
その未来を僕らが旅を続けることで支えていきたい。
そんな風に思ってしまいました。
 
いつもの貴女も魅力的ですが、この日ばかりは戦いや自分に課せられた役目や荷物など全て忘れて、一人の女性としての美しさを見せていました。
 
ミシェルさんに向けられた、友人の幸せを心から喜ぶ貴女の無垢な笑顔が忘れられません。
あなたから、戦いを知らないような、幾度も浴びた生ぬるい血を感じさせない、“女性”としての姿を見たのは、
これが最後でした。
 
だから今でも僕らの胸に焼き付いているのです。
あなたの幸せは、僕らと共にあるものではなく、貴女が誕生した世界で、貴女と出会い、貴女を愛し、貴女も愛した男性と、家族と、友人と、戦いのない世界で生きることが貴女の幸せなのだと。
 
 
ならなぜ僕らは今も貴女を必死に捜しているのでしょうか
未来が壊れてしまうから?
誤解を解きたいから?
貴女を守りたいから?
もう戦わなくていいのですと、安心させたいから?
 
なんにせよ、僕らはきっと貴女のことを無垢な心で見る事はできないのでしょう
僕らは知っていながらあなたを捜している。
 
辛いのならもう、無理をしなくていいのです
そんな言葉を胸に抱えながらも、彼女はまた歩き出すだろうと知っていて捜しているのです。
 
本当にあなたの幸せを願うのなら
捜さないことが貴女を自由にするんだとわかっていながら
皆それぞれなにかしらの理由をつけて貴女を捜してる
 
そんな自分を殺してしまいたくなる衝動と戦いながら
僕らも与えられた使命に首をしめられている。
 
 
貴女を捜し出せても
きっと僕らは心から笑うことは出来ないのだと思います
貴女が心から笑う日が来るまでは
二度と。

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©Kamikawa
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