voice of mind - by ルイランノキ


 友誼永続10…『voice KAI』

 

〜KAI Voice of mind〜

 
アールはよく怪我をする。
そのたびにありがとうと感謝してしまう。
 
怪我してくれてありがとうって言うのはどうかと思うけど、
今まで俺が一番のお荷物だったから。
 
俺が一番鈍臭くて、仲間によく呆れられていた。
 
でもアールが仲間に加わったとき、俺以上に怪我をしてくれるから、俺は一番下じゃなくなったんだ。
正直、ありがとうって思ってた。
 
だけどアールは少しずつ強くなっていく。
でも怪我もどんどんする。
 
ねぇ覚えてる?
戦いの合間に俺がアールに沢山質問したこと。
不思議だったんだよね。強くなってゆくのに、なんで怪我をするんだろうって。
 
アールのこと、たくさん知りたくて質問攻めにしたこと、あったよね。

 
「ねぇアール、趣味はなぁーに?」
「趣味? ……なんだろ」
 
「特技はなぁーに?」
「特技……なんだろ」
 
「好きなタイプは?」
「…………」
 
「んじゃあ、何か運動はー?」
「運動? 苦手」
 
納得っ!!
 
アールは戦い方を学んでも、なかなか運動音痴は治らなかったんだ。
 
ついでに方向音痴だということも研究済。
そして、運動音痴だからか、受け身下手!
 
ねぇアール、なんでこんなにもアールのことを知ろうと思ったと思う?
 
なんでこんなにも歩み寄ろうとしたと思う?
 
なんでこんなにも
君を必要とするんだと思う?
 
 
──それは違うよ。
それだけじゃないんだよ。
 
ちゃんと俺の声が聞こえる場所にいてよ
伝えたいこと、伝えられないよ
 
俺はアールが好きなんだ。何度でも言うよ。
俺はアールが好きなの。
 
俺に似てるから。
どんくさいとこ。
  
もちろんそれだけじゃないんだよ
それだけじゃないから……。

 

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©Kamikawa
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