voice of mind - by ルイランノキ


 カスミ街と海45…『VOICE WEISS』


〜WEISS Voice of mind〜

 
枯れ野原になっていた村に、花が咲く。
訪れる度に種を蒔き、訪れる度に花の数が増え、風に揺られて踊っているようだった。
 
此処は恋人と家族と村人との思い出の地。
無関係の人間が訪れることによってこの村に新しい記憶が上書きされてゆくのが許せなかった。
だから極端に人や魔物が訪れることを嫌っていた。
 
だが、シャグランの種を置いていったお前に関しては、さほど抵抗はなかった。それでも新たに村の記憶が増えてゆくことを恐れ、二度と近づくなと伝えた。
 
過去のものになってゆく。
新しい記憶が増える度に古いものは奥へと押しやられてゆく。
それが私には堪え難い悲しみだった。
 
アール
 
お前のお節介は時に鬱陶しく、時に私の乱れた心を正すようでもあった。
 
今、その大地の瞳で何を見ている?
見えている世界の中に希望が少しでもあるなら、私は
 
共に生きることを誓おう──

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©Kamikawa
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