voice of mind - by ルイランノキ


 カスミ街と海3…『VOICE SID』


〜SID Voice of mind〜

 
長くいれば気づく変化がある。
ただの優しさかと思っていたが、度を増していった。
 
本人は気づいていない状態で警告すれば、気づかせてしまう。
警告によって気づかされ、更に 意識 しはじめる。
 
普段どんなに冷静で世話好きでしっかり者でも所詮、10代の子供に変わりはない。
流されやすく、陥りやすい。
 
警告を笑って流せる間はいいだろうが、笑って流せなくなったとき、壊れはじめるのではないかと思っていた。
 
でもその反面、相手がお前ならという安心感もあった。
 
お前は振り向かない。
寝ぼけながら口に出していた男しか見ていない。
だから例え仲間同士の間に特別な感情が芽生えたとしても、お前ならその歪みを立て直せると思っていた。
 
居場所の安定感が悪くなると困るんだよ。
人間は感情で行動を変える。
チームワークが出来ていれば纏めて動かせるが、皆バラバラだと面倒だ。
 
だから余計な感情は抱いてほしくはなかった。
 
──今は そうは思わねぇけど。
 
お前もまた、余計な感情がお前の行動範囲を狭めているんだろ?
 
俺の声に答えてくれなくてもいい
あいつの声にだけは、答えてやれよ
 
素直に。
 
あいつならお前を捜し出せる。
お前もあいつになら、素を見せられるんじゃねぇの?
  

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